ハツコイ。
□Act.4 微笑み ―SMILE―
1ページ/5ページ
私は、貴方から、たくさんの元気を貰っていたの。
少しずつ、笑顔を取り戻していたの――…。
Act.4 微笑み ―SMILE―
穂香「日吉くん!」
日吉「藤咲。」
私は、あれから約半月、毎日屋上にきていた。
穂香「今日も一緒にお弁当食べてもいいかな?」
日吉「あぁ。」
日吉くんは少しだけ微笑み、読みかけの本を閉じた。
最初、出会った頃より、日吉くんと打ち解けたかな、なんて最近ちょっと思ったりもする。
会話も弾むし、日吉くんのこともいろいろ教えてくれた。
私はそれが凄く嬉しかった。
此処の所、友達と呼べる存在は見当たらず、仲の良かった部活の友達とすら距離を感じる。
…それは、もしかしたら私が友人を遠ざけているのかもしれないけれど。
仲良くすることでターゲットにされてはひとたまりもないし、そもそも今は私の事をどう思っているのか分からない。
だから、日吉くんの存在は心の支えだった。
こんな風に一緒にご飯を食べて笑い合える相手は今は彼だけだ。
日吉「…なぁ、藤咲。」
穂香「何?」
日吉「最近、元気になってきたな。」
穂香「そ、そう…なのかな?」
日吉「あぁ。藤咲、よく笑うようになったしな。」
穂香「そうかな…。」
すると、頭をポンポンと撫でられた。
手が触れた瞬間、胸の奥の方が暖かくなり、同時に高鳴る。
それは何処か心地よくて。
もっとこうしていたいと、思わせる程だった。
日吉「藤咲は…笑顔の方がいい。」
穂香「あ、ありがとう。
で、でもね…」
日吉「何だ?」
穂香「もし、私が元気に、笑顔になれてるなら…
それは、日吉くんのおかげだよ。
日吉くんがいなかったら、私、絶対笑えてない。
日吉くんが、私を避けたりしないで、一緒にいてくれるから…
日吉くんが、私を受け入れてくれたから、
だから、私、笑えてるんだと思う。
だから…その、さ。
ありがとう…ね?」
日吉くんには、感謝してもしきれないくらい。
ありがとうの気持ちで心がいっぱいになるくらいに、日吉くんから、元気をもらった。
私に、笑顔をくれてるのは、いつも、いつも。
日吉くんの存在だった。