ハツコイ。

□Act.3 再び ―ONCE MORE―
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翌日。

私は、日吉くんに会いたくて


屋上へ向った――…




Act. 






私はお昼休み、屋上へ向った。


うちの屋上は、本当は立ち入り禁止。

だから、お昼も人は来ない。


…だから、私と日吉くんが会ったとしても、きっと誰にも知られない。

だから、日吉くんは私と会っていても、イジメに巻き込まれる心配はない。


安心して、日吉くんと会える。




屋上へと繋がる扉。
そのドアノブに手をかけた。


穂香(なんか、少し緊張するな。)



ゆっくりとドアを開ける。

万が一日吉くん以外が居ては困るから。




穂香「失礼しまーす…。」


日吉「ククッ…オマエ、ここは職員室じゃないんだぞ?」


日吉くんは、給水塔の影に座って、本を読みながら、お弁当を食べていた。


穂香「あ、日吉くん!」


日吉「…久しぶり、か?」


穂香「そうだね、お久しぶり。」


日吉「今日は…どうしたんだ?」


穂香「んー…なんかね、日吉くんに会いたくなって、さ。」



そう言ったは良いが、言葉の恥ずかしさに自分で気付き、思わず赤くなった。

しょうもない…。



日吉「そう、か…。そういえば、昨日、テニスコートの周り走ってたろ。」


穂香「あ、うん。あの辺、私の部活のときのランニングコースなんだよね。

私も昨日、日吉くんが銀髪?の人と打ち合ってるところみたよ。」


日吉「あぁ、鳳と打ち合ってるときか。」


穂香「そういえば、日吉くんってレギュラーなの?周りとジャージ違ったけど…」


日吉「俺は準レギュラーだ。」


穂香「え?!凄くない?!だって200人も部員いるんでしょ?」


日吉「俺はこの程度では満足しない。目指すはレギュラー、いや氷帝1だ。」



日吉くんの真剣な瞳。

凄く格好良いと思うと同時に、その瞳に吸いこまれそうになった。



日吉「俺の座右の銘は、“下剋上”だからな。」



そういうと日吉くんは少し微笑んだ。

日吉くんは、強くて真っ直ぐな人なのだと言葉の端々から感じ取れる。



日吉「藤咲。いつまでそこに突っ立てんだ?」


穂香「あ、あのさ…

一緒にお昼食べてもいいかな…?」


日吉「あぁ、別に構わない。」




久しぶりかも、誰かと一緒にお昼食べるの。



なんだか、日吉くんに甘えっぱなしな気もするけど…




今は、今だけは、

ただ純粋に、

この優しい時間を満喫したくて。



日吉くんの優しい言葉に、素直に甘えることにした。









 
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