*白雪姫

□第5話
1ページ/4ページ



数分前―――


「さてと……」


柳生はそう言いながら、木の切り株に腰掛けた。


俺も、ふう、とため息をついて今までに切った木を見る。


あとは、この木を城下町に売りに行って……


白雪は自然破壊だという視線を俺に向けていたが、これは『仕事』。


必要だからやるわけだし


俺たちもこの仕事をしないと食っていけん。








「今、何時くらいだ?」


宍戸が鳳にきく。


「お昼ちょっと前ですね。」


するとブン太が


「じゃあ、昼は城下町で食おうぜ!」


と、今日は自分がお昼当番なのを逃げるためなのか、言った。


一瞬、頭の中に白雪の顔がよぎったが


「しょうがないですね。」


と柳生が言ったから、俺たちはそうすることにした。


ブン太…喜びすぎじゃろ。


「おい、ジロー起きろよ!」


宍戸が寝てるジローを蹴る。


よく地面で寝れるのう。


そのとき、俺はふと気付いた。


ついさっきまでいた赤也がいない。


「おい、赤也はどこ行ったんじゃ?」


「あぁ、ついさっき、財布忘れたって家に戻ってったぜ。」


ジローを起こした宍戸が言った。


家……じゃと!


「だから、先に行っててくれって……おい、仁王!」


俺は宍戸の言葉を遮って走り出した。


「俺も忘れ物じゃ!先に行っとってくれ!」








最悪じゃ……


これで赤也と白雪が鉢合わせなんかしたら、面倒なことになるぜよ。


俺は、森をかきわけてひたすら走った。









「はぁ、はぁ……」


息切れしながらも、家に着いた俺は、家のドアを開ける。


ガチャ……


すると、そこには案の定、白雪と赤也がご対面していた。







もう、さすがにごまかしはきかんか……








.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ