*白雪姫

□第2話
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狩人の忍足侑士くんに言われて、私はひたすら森を走ってた。


私の命を狙ってくるお義母さんのいる、この国から逃げるため……


忍足くんが言うには、この森を抜ければ、でっかいお城がある国に出るらしい。


そのお城の王様に頼んで、お義母さんをやっつけてもらわなくちゃいけない。


でも、


私のお義母さんが?


「っなんで……どうして…!」


私は目に涙を浮かべた。


私、これからどうすればいいの?


お父さんは病気で寝込んでるのに…


お城の人たちも、きっと私がいなくなったと分かったら探すはず。







……何よりも、私はもうあの城には戻れないの?






「そんなの、ヤダっ!」


でも、私にはどうすることも出来ない。


お城に戻ったらお義母さんに……


でも、それが忍足くんの言った嘘だったら?


本当は、まったくそんなことなかったら?








「もう、誰を信じればいいのか…わかんないよ。」


私は走るのを諦めて、その場に座り込んだ。


服は、森を抜けてくる途中にあったイバラのせいで、ボロボロだし。


体も泥だらけだし。


お腹もすいた。


もう最悪……








疲れ果てて、もう地面に倒れこもうとしたとき、


どこからか、シチューのいい匂いがした。


……こんなときは、私の食い意地も役に立つもんなんだね。


しかも、料理名まで言い当てちゃうなんて、さすが私…。


私は、その匂いを辿って歩きだした。


すると、森が少し開けている広場に、家が建っていた。


ここから、いい匂いがする。


私はドアをノックしてみた。




コンコン




でも、中からは返事がない。


「あの、誰かいませんか?」


声をかけてみても、まったく返事がない。


私はドアノブをゆっくり回してみた。




ガチャ




「開いてる……」


私はゆっくりとドアを開けて中を覗いた。


中には誰一人としていない。


「入っちゃいますよー?」


私は、さすがにこれ以上歩くことは出来ないので、中に入って休ませてもらうことにした。








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