*Short

□君の笑顔
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「じゃ、さよなら。」


若はそう言って、右に曲がっていった。


寄るところ?


私はその背中がなぜか淋しそうに見えて、思わず立ち止まる。


「なまえ?」


岳人が「どうした?」と聞いてきた。


「あ!私も寄るところがあったんだ!!ごめん、先に帰ってて……」


そう言って、私はみんなを置いて、若の後を追いかけた。








若、なんか変。


もしかして、私がなんか怒らせるようなことしたかな……


嫌われたかな……


どうしよう








そんなことを考えながら走ってると、やっと視界に若が見えた。


私は叫ぶ。


「若!待って……!!」


若は振り返って、驚いた顔をしたけれど


すぐ、前を向いてスタスタと歩き出した。


「っ………」


やっぱり、嫌われたのかな…?


待って……


私はそう思いながら一生懸命走った。


若はまったくこっちを見ずにスタスタ歩く。


「っはぁはぁ」


息が苦しい。


やっぱ、体力不足だな……


あと少し


そんなとき、私の足がもつれて……


「わっ……!」


コケた。


「っ………!」


膝から血が出てくる。


痛い……


顔を上げると、日吉が慌てて私のところに近寄ってきた。


「大丈夫か……?」


「アハハ、コケちゃった。」


私は笑って立とうとする。


でも……


「っ………!」


やっぱり膝が痛い。


変な方向にでもひねったかな…?


「痛いのか?」


若は心配そうに私の顔を覗いた。


「ううん、大丈夫……」


じゃないかも。


すると、若はそれに気付いたのか私に背中を向けてしゃがんだ。


「乗って。」


「え?」


「歩けないんだろ?家まで送っていくから。」


私はどうしようかと一瞬悩んだけど


ここは甘えさせてもらいます。








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