**大きな木の下で**

□《僕らの世界》
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「……………。」







昼時なのに


僕の部屋には日が差し込まない。


何かから守るかのように


白い布で覆われた
ガラス。




ところどころに



古傷の跡。




僕が
この世界で生きている
証し。





間取りはそこまで広くない。



なのに
だだっ広く感じる

僕の秘密基地。




テレビはもちろん
冷蔵庫だってある。



その辺の
個人経営のショップより、品揃えは豊富だ。




テレビの向いには
白く、フカフカしたベッドが置いてある。



僕を
明日へと導く
繋ぎでもある。



その横には
昔から変らないクローゼットがある。




未だに
着れない服が詰め込まれている。


僕は毎日
その代物に、着飾られてる。





けして
広くはない
僕の部屋。



お気に入りの
全身鏡。




唯一
本当の僕を見てくれる。


だから
僕の部屋の中では
一番大好きだ。




何故ここにあるのか。


誰が買ってきたのだろう。


いや。


貰い物かも。



でも、



僕の部屋にあるんだから
僕のモノには
違いない。





僕の秘密基地には
誰一人入ってこれやしない。



誰も入れやしない。



堅く
閉ざされた扉を
開けるのは


この僕だけ。



周りには選択肢なんてない。




この秘密基地の
長はこの僕。




ここが僕の世界。


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