●小話
□指先
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身体に、力が入ら無い
後頭部が、じくじくと熱に侵食される様な感覚に襲われて
胎内を満たす圧迫感に、腰が跳ねる
手首を一括りにして居る麻縄が食い込んで、擦り切れた皮膚にじわりと血が滲み
冷たい指先で首筋をなぞられて、情け無い事に背が震えた
息が、出来無い。
声を出さ無い様にと、唇を噛み締めて耐えれば
ヒュ、と風を切ったしなやかな手で、頬を張られる
如何しようも無い快楽から逃れたくて、身体を捩れば
細い指が、喉に食い込んだ
『愚か者めが、我から逃れられるとでも思って居るのか』
冷たい、抑揚の無い声で囁かれて
ぎり、と喉に食い込んだ細い指に力が込められる
思い掛け無い力に咳き込めば、首筋に歯を立てられて強く噛まれた
『ぐ、ぅ、あ、ァ…ッ!!』
『……鬼と謂えども、所詮は人間よ。快楽には、弱いらしいな』
『ァ、うあ、ァ…あァ…ッ』
歯を立てられた箇所を、ねっとりと舌で舐め上げられて
閉じる事も儘成らなくなっちまった口から、耳を塞ぎたく成る様な程の声が漏れる
嗚呼、畜生
本当に、本当に情け無ェ
そんな俺を、至極愉しそうに
其れで居て、蔑む様に追い詰める此の男
わざとらしく、もどかしい程の刺激を与えられて
脳が、溶ける