●小話

□殺意と渇望と欲情
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白い肌
鋭い眼光
日の光を浴びてきらめく銀髪
にいやりと弧を描く、少し厚めの唇



西海の鬼、長曾我部元親





全く持って、下らぬ
己の兵を引き連れて、愉し気に笑う様も
自信に満ち溢れた、色素の薄い瞳も

其れ総てが、一々、我を苛立たせるものでしかなく
此の感情が何と謂う類の物なのかは解らぬが、湧き出るのは如何しようも無い程の渇望









( あの男の心を踏み躙ってやれば、奴には、一体何が残るというのだ )










そんな事を思い、僅かに口角が上がるのを感じた





鬼ケ島の鬼
そう呼ばれている、あの男を
此の手に掛けてみれば、何か満たされるのだろうか


屈辱に顔を歪めて
地に這い蹲って、許しを請う鬼を
此の目で見れたのなら、何か得られる物があるのだろうか







嗚呼、嗚呼
全く持って、下らぬ







じわりじわりと、真綿で首を絞められる様な苦痛を
己を慕う兵の前で、恐怖と絶望と屈辱を
鬼が、咽び泣く様を








『四国へ兵を進めよ』



『あの地を、毛利軍の手中に収める』



『敵軍の兵は、皆始末しろ』



『ただし、長曾我部には手を出すな』



『あの男は』







無様な姿を、我の前で曝け出すが良い








『我が、此の手で殺す』










誰にも、邪魔はさせぬ。







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