SITENHOJI
□少しのアルコールとちょっとした下心。
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床に少しこぼれたお酒と、
その辺に投げ捨てられた少しの衣類と、
無理矢理押し倒された俺。
少しのアルコールとちょっとした下心。
今日は特に何もない平凡な1日だった。
いつもどおり生徒に授業をして、放課後は受け持ってるテニス部の練習をみて、
それから家に帰って晩御飯を食べて、寝る前に少しお酒を飲んで寝るつもりだった。
……そう。つもり、だった。
晩飯を食べて、一息つこうとしていた俺のもとに届いたのは一通のメール。
送り主はなんとテニス部部長、白石蔵ノ介。
内容は簡潔に一文、「玄関の戸開けてみ」だけだった。
(短すぎや…。ちゅーかなんとなく予想できとるんやけど)
教え子のありきたり過ぎる演出になんとなくあきれてしまったことは自分だけの胸の中に秘め、
俺はひんやりとしている廊下を通って玄関の戸を思いっきり開いた。
ゴンッ
「痛っ」
「あっ、そこに居ったんか。すまん、すまん」
わざとらしく驚いたような演技をした。
白石が玄関の扉に寄りかかっているのはわかっていた。
だから戸を思いっきり開いたのだ。
「ちゅーか、なして戸に寄りかかっとんねん。白石が開けろ言うたんやで?こうなることはわかっとったやろ?」
少し笑ってやった。そして白石に中に入るように勧めた。
「立ってるのがだるかっただけや。それにオサムちゃん、俺が玄関にいること知っとったくせにわざと思いっきり戸を開くなんて性格悪いんやな」
白石は遠慮することなく玄関に入り、靴をぬぎながら俺に嫌みを1つ吐き捨て、ひとりで居間に向かっていった。
(今日は少しご機嫌斜めみたいやな…)