SITENHOJI

□キスじゃ死ねません
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※変態謙也、酷い光注意報


「謙也さんほんまに嫌い。ありえへんっすわ」




朝から光はずっとこの調子。




原因は昨日にある。




明日泊まりにきぃひん?
って言うたのが金曜日のこと。
そんで、昨日光が泊まりにきた。




恋人が泊まりにくればやりたいことの1つや2つや3つはあるわけで、
夜、光を抱いた。




まぁ、そこまではいつも通りなんやけどここからがあかんかったらしい。




いつもなら一回で終わるんやけど昨日は我慢できなくて三回もしてもうた。




そのせいで腰が痛いらしく、今に至る。




「三回もヤるやつがどこにおんねん」




「すみません…」




「あーほんまに腰痛い。ありえへん。今日部活ないだけまだマシっすわ」




俺に対して暴言をめちゃくちゃに吐きつつ未だにベッドから降りてこない光。
ほんまにめっちゃ痛いんやな…。




そんな時に俺のケータイに一本の電話が。
こんな時に誰やねん、なんて思いながらディスプレイを見れば白石からだった。




「…もしもし?」




『あ、謙也か?せっかくの日曜日に悪いんやけど急に部活やる事になってもうたから一時間後に部室集合な』




「はぁ!?それほん『財前にも伝えといてや。ほなあとでなー』




ブチッ、ツー、ツー、ツー




俺の携帯から虚しく聞こえる電話が切れた音。




…部活あるなん光に言うたら俺殺られるわ……。
部活やる言うた奴誰やねん!
空気読めっちゅー話や!(お前もな、ちゅーツッコミはあかんで)




「……誰からだったんすか?」



訝しげに俺をみつめる光。
なんとなくさっきよりも怒ってるのが目に見えている。
あー、
言えへん。でも言わなあかんよな…。




「白石、からやで?」




「部長から?」




「せや。……あ、んな、光。今日部活あるみたいなんやわ」




「………は?」




光からの視線がめっさ痛い。
そんなごっつ睨まんといてや…!




「それほんまに言うてるん?」




「ほ、ほんまやで?」




寝っ転がっていた体を起こして光はため息を一つつくと、
ものごっつうひっくい声で




「謙也さん、死んでください」




って言うた。
あぁやばい
キレる寸前やん…。




「ひ、光くん…?」




「今ここで。い・ま・す・ぐ・に!」




光の目が据わっとる。
どないしよ…
白石とかやったら上手く光を丸めこめるんやろな。




「なんなら首絞めたりましょか?」




そういうと光はベッドから降りて俺の傍にくると
俺の首に手を添えた。




やばいやばいやばい。
上手く回避する方法は…あ。
ええこと思いついた。




「ひ、ひかるがキスしてくれたら死ねるわ!」




「……それほんまに?」




「…へ?」




「キスしたりますからちゃんと死んでくださいね」




ちょ、いつもならここで恥じらっとるやん!
ちゅーして言うてもいっつもしてくれへんやんか!
なんでこないな時に男らしいねん!
今は勇ましくなくてええっちゅー話や!




そんな俺の心境なんて光は露知らず、
俺の後頭部を押さえると触れるだけっちゅーわけでもなく、
でもそこまで深くないキスをした。




「…っ」




「…どうっすか?これでええ?」




…いやいやよくないわ…。
でもやばい。
これはグッとくる




「…光、堪忍」




「…はい?」




「キスじゃ死ねへん」




「……謙也さんの嘘つき」




「光が上目使いで“謙也さん、俺んことめちゃくちゃにして?”って言うてくれた「うざ」……」




そういうと光はハンガーに掛けてあった自分の制服を着ながら一言小さく呟いた。




「今度それやったりますから覚悟しといてくださいね」




…どうやら俺の寿命もそろそろみたいです。



 

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