SITENHOJI
□恋に別れは付き物だと誰かが言ってたっけ。
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出会って愛し合って、どれだけ相手と離れたくなくても必ず別れはくる。
それがどんな形かとかいつだとかなんてわからないけど
その時がもし来たら俺は綺麗に笑ってさよならできるのかな。
恋に別れは付き物だと誰かが言ってたっけ。
なんで、なんで、なんで。
どうして？センセ、教えてよ。
「ほら、財前君。そないに泣かへんの」
俺をこんな風に泣かせてんのはセンセやろ。
いつもの悪態だって言葉として口から出ていかない。
ああ、ほんま最悪。
涙止まらへんし、たぶん涙で顔ぐちゃぐちゃやし。
こんな姿、見せとぅなかったのに。
「なんか飲むか？お茶とリンゴジュースくらいしかあれへんけど」
「……センセ、」
「ん？」
「そないな事より、も、さっきの言葉の意味、教えて…？」
「…さっき、の…。…まんまの意味やで？」
……本気やったんか。
いつもの軽い冗談とかじゃなくて、きっとセンセの本音やったんやな。
（先生な、財前君の事幸せにしてあげる自信なくなったんや。やから、別れてくれへん？）
ずるいずるいずるい。
センセはずるい。
昨日まで俺が呆れるくらい好き好き言うてたくせに。
いきなし別れて、なんて卑怯すぎる。
「…ほんまに別れなあきませんの…？」
「別れなあかん」
「俺今までセンセに幸せにしてくれなんて言うた覚えあらへん」
「人間誰しも幸せにならなあかんのやで」
「そんなん勝手やん…」
「……。」
「俺、は、！センセと一緒に居れるだけで幸せなのに…！それ以上の事なんて望んでへん…。なんでわかってくれへんのですか…っ！」
止まりかけてた涙がまた頬を伝った。
目の前がどんどん歪んでいく。
センセの表情わからへんな、なんて働かなくなってきている頭で思った。
ああ、でも逆に良かったかもしれへん。
もしセンセがいつも通りの表情で別れの言葉を言っているのを見てしまったら間違いなく殴ってた。
でも、やっぱりほんの少しでも心苦しい表情しとってくれたらええのに、なんて思った。
結局のところ、苦しいのは俺だけじゃない、センセだって苦しいんだっていうこの涙を止める理由が欲しかっただけ。