SITENHOJI

□朝方、あなたの横で
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ずっとずっと一緒に居られるわけじゃないから、




たまに見れるあなたの寝顔も悪くないかな、




なんて思った。



















朝方あなた



















まだ冬の名残が残ってる3月中旬の朝方、




俺はいつもよりも部屋の温度が低くて目が覚めた。




「……さむっ…」




頭を出して寝てたために鼻のてっぺんが寒くて頭まで布団を被って寝返りを打とうとしたところ




(…ん?何か居る?)




俺が今まで背中を向けていた方に何かがあることがわかった。




(グアちゃんかいな?…ちゅー事はゆっくり寝返り打ったほうがええな)




俺はイグアナのグアちゃんが誤って落ちてしまわないようにゆっくり寝返りを打って、すぐに抱きついた。




「グアちゃん、おはようさ…ん……?」




抱きつけば、いつものゴツゴツした感覚がない。




その代わりにふわふわした感覚があった。




(…あれ?ふわふわ?なんやこれ)




自分の手を下に少しずつ持っていってベタベタ触っていれば、




いきなりその手を引っ張られた。




「謙也さん、朝からずいぶん積極的やな」




あれ……。
今光の声が…




俺まだ夢見てるんかな?




だって今日平日やし…




まさか光がいるわけない。




「なんであんた黙っとるん?」



…あれ?また聞こえた。


 

俺の手を掴んでるきっと光であろう物体はモゾモゾ動くと、俺が頭まで被っていた布団を剥いでひょっこり顔をだした。




「おはよーさんですわ。謙也さん」




まだワックスをつけてないからかサラサラの髪に少し寝癖がついた状態で光は俺に挨拶をした。




「おはよーさん…ちゅーかなんでここに居んねん」




ツッコみたい所は山々あるが、とりあえずどうして俺の家の俺の部屋の俺のベットにいるのか聞かなければならないと思った。




「え?謙也さん憶えとらんの?昨日あんなに愛しあったのに…」





「いや、真顔でんな事言うなや!それに平日にヤらへんわ!」




「うわっ…この人朝からヤるっちゅー単語出しよった…変態やな」




「そ、それは光が愛し合ったとか言いよるから…」




誰もせっく「モロに言うな
やー!!!」……チッ」




な、なんやねん!




なんで朝からこんなにツッコまなあかんの!?




いや、ちゅーか話逸れとる…




「でっ!なんで光がここに居るのか説明してや」




「やから昨日は愛し合ったって言うてるでしょ」




「もうそれはええっちゅーねん!」




光は、せっかくボケてやったんになんやねん。とかぶつぶつ言いながらソッポを向いた。




「ひ、光……?」




「別に俺達恋人同士なんやからいつ来たってええでしょ」




「せやけど、光がわざわざ俺ん家まで来るなんてめずらしいやん?」




夏ならまだしもまだ寒いんやから、と付け足して光を自分の方に向かせた。




すると、真っ赤な顔をした光が俺を見ながらこう言った。




「きゅ、急に謙也さんの近くに居りたくなってわざわざ来ただけですわ!」




光にしてはめずらしく大きな声だった。




「(うわわっ!ごっつかわええ…)」




それきり押し黙ってしまったままの光を抱き締めた




「光がわざわざ来いへんでも電話してくれたら俺から行くんに」




「……じゃあこれからは電話しますわ」




それから二人で笑って、
じゃあまた後で、と言って光は帰ってしまった。




(…なんや台風みたいに去って行くんやな)




また一人になってしまった部屋はなんとなく寂しかったが
光の匂いがまだ残っていて、なんだかとても幸せだった。




(さて、さっさと着替えて光を迎えに行こかな)




すっかり上りきった朝日は、寒かったこの部屋を少しずつ暖かくしていった。




 

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