SITENHOJI

□油と水はいつかコーヒーとミルクへ
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例えるならば、



あなたは油で、俺は水。



だから弾かれる。



だから、交わることができない。













はいつかコーヒーミルク












「白石部長、す」



「光、それ以上は言わんといて」



今現在、俺と白石部長は白石部長の部屋にいる。



今日こそは俺の気持ちを聞かせようとベットに押し倒したというのに



あの人はまたもや俺を拒否。



本当にあんたは油や。



そして俺は水。



だから反発されて、受け入れられることはない。




 
「…白石部長は俺の事好きやないん?」




「好き…やけど…」




白石部長はどこか困っているような、なにか迷っているような顔をしている。




「じゃあなんであんたは俺を受け入れてくれへんの…?
付き合うてるのに、これなら無意味や」



静かに、自分の感情を爆発させないように白石部長に言った。









別に好きなんて言葉を言えなくたって構わない。




でも、俺の事を受け入れてほしい。




じゃないとあなたの側にいる意味がなくなってしまうから。




あぁ、でもきっと俺は薄々感づいてた。




なんで、白石部長が俺と付き合ったのか




なんで、付き合うてるのに俺を受け入れられないのか




それは―…



 
白石部長は、




「………光、俺な」




まだ謙也さんを




「未だに謙也を」




忘れられないから。




「忘れることができないんや」




そういって白石部長は嗚咽を漏らすことなく静かに泣き始めた。




「(俺はたぶん、一生白石部長の中で謙也さん以上に大きな存在にはなれへん、な)




そんなことを考えてから俺は白石部長の上からどけて一緒に泣いた。




これからなにがあっても泣かないように、




俺と白石部長の距離が縮まるように、




いっぱいいっぱい祈りながら




白石部長と一緒に泣いた。













せや、泣き止んだらコーヒーとミルクでもだしてもらおう



それで、嫌味ったらしく言うてやるんや



「あんたは俺を拒否り過ぎなんすわ。まるで、油と水や。このコーヒーとミルクみたいな関係を少しは見習ってや」








油と水は、いつしかコーヒーとミルクのように



甘く、優しく、溶け合うような関係になっていく。




 

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