SITENHOJI
□世界一愛しい人へ世界一嫌いな言葉を
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「謙也さん…」
誰か無理矢理でもええから俺を止めて。
「なしたん?元気ないで光」
「 」
俺は世界一愛しい人へ
俺が世界一嫌いな言葉を呟いた
世界一愛しい人へ世界一嫌いな言葉を
「…………は?」
謙也さんは目を点にして俺に聞いてきた。
「だから聞こえませんでした?」
「いや、聞こえたもなにも」
まだ大丈夫。
まだいつものように感情を表に出さずにいられる。
「“別れましょ”言うたんや」
「………なして?俺なにか光の気に食わんことしたか?」
気に食わんこと?
そんなの毎日してるやないですか。
べたべたくっついてくるわ
人のぜんざい食ってまうわ
あんたといるといいことなんてなかったわ。
……けど、それでも好きなんや。
世界一愛してるんです。
俺の好きな物が無くったってあんたが居ればそれで十分だった。
俺の横で「光好きや」なんて言ってくれるだけで
俺は幸せだったんや
なのに……
「もう謙也さんのこと嫌いなんすわ。だから俺に金輪際近づかんといてください」
謙也さんにそう一言冷たく言うと俺はその場を足早に去った。