SITENHOJI

□ゆーふぉーきゃっちゃー
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これは、




俺と謙也さんが付き合い始める少し前の出来事。





























ゆーふぉーきゃっちゃー





























「なぁなぁ光ー!ちょいあそこ寄ってかへん?」




そう言って謙也さんが指を差した先にあったのはゲーセン。




ゲーセン行ってこん人はなにする気なんやろ。
まさかプリクラとか寒いこと言わへんよな?




「別にええっすけどプリクラ撮りたいとか寒いこと言わんでくださいね」




「えっ…、あ、あかん…?」




「あかん。撮りたいなら一人で行ってきてください」




「光のケチ…でもとりあえず入ろうや」




まぁ、入るくらいならええか。
そう思い、俺はもうゲーセンに向かって歩き出している謙也さんの後を追った。



















入った瞬間に耳に届く騒音。




俺はこの入った瞬間が嫌い。
(嫌いっちゅーか苦手?)




騒音なん、軽音に入っとるし別になんとも思わへんけどこのゲーセン独特の色んな音が混じったやつは嫌や。




思わずため息をつきたくなった時に入口付近に数台設置されているUFOキャッチャーが目に入った。




俺、実はこれも苦手やねん。




まともに取れたことなんてないし、今まで一体こいつのせいで金がどれだけ飛んだことか。




…あ、でもあのお菓子美味そうやん。
食いたいわぁ。
でも俺取れへんし。




せや、こんな時に先輩を使わんでどないすんねん。




「謙也さん!」




俺の居る場所より少し離れた所にあるUFOキャッチャーを見ていた謙也さんを呼んで、取ってくれるように頼んでみることにした。




ついでにこん人がUFOキャッチャーできるんか知りたいし。




「どないしたん?光」




俺の声に気付いて俺のそばまで来た謙也さん。
あ、なんや見た目から苦手そうに見えるんやけど。




「これ取ってくれません?」




そう言って俺は欲しいお菓子が入ってる袋詰めを指差した。




「ん?これ?別にええで」




謙也さんは俺が指差した袋詰めを確認するとにかっと笑って自分の鞄から財布を取り出そうとしたんやけど俺が頼んだもんやし謙也さんに100円玉を5枚渡した。




「ええよ、俺が取ったるんやし俺が金出すで?」




「ええから黙って受け取ってください。俺が頼んだもんやし金は自分で出しますわ」




うーん、と謙也さんは唸ったあとにじゃあ、と言って100円玉を4枚俺に返してきた。




100円だけで足りるんやろか…




「ほな、1枚だけ貰とくわ」




「1枚だけで取れるんすか?」




「なっ…!1枚だけで十分っちゅー話や!ちゃんと見とき!」




「はぁ…」




謙也さんは手に持っている100円玉を機械に入れてボタンで上手くクレーンを操作していた。
ちゅーか俺には適当にやっとるように見えるんやけどちゃんと俺が欲しいお菓子が入っとる袋詰めの上にクレーンを移動させていて、謙也さんが最後にボタンをポンッと離せばクレーンの取っ手が袋詰めについている輪っかに引っかかって、景品口に袋詰めが落ちた。




「どないや!俺UFOキャッチャーは得意なんやで!」




俺は景品口に落ちた袋詰めを取りながら信じられない気持ちでいっぱいやった。




なんでこん人こんなに上手いねん。




なんや悔しい。
でもなんとなくカッコエエ。
…ような気がする。
いや、でもやっぱり俺が出来んことをこん人が出来るのがやっぱりムカつく。




「…じゃあ次あれとってくれます?」




そう言ってから俺は隣のUFOキャッチャーにあるさらに一回り大きいお菓子の袋詰めを指差した。




「あれ?ええでー!取ったるわ!!あ、でも今回は俺に金出させぇや」




俺の手にあるさっき返されたばかりの100円玉4枚を謙也さんに渡そうとすればそれを静止され、謙也さんは素早く自分の財布を取って100円玉を機械に入れた。




さっきと同じく一回でさっきのよりも大きいお菓子の袋詰めを取ってしまった謙也さん。




…なんや、カッコエエを通り越してほんまにムカつく。




ちゅーかごっつ悔しい。




俺ができんものをなんで謙也さんができるん?

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