壬生学園編

□第四章 不景気って大変ですね【作成中】
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壬生学園は夏を向かえ、待ちに待った夏休みに突入しようとしている。

今日は終業式の日。

皆は既に夏休み気分で、どっか行く予定あるのー?みたいな感じで盛り上がっていた。


ワイワイガヤガヤ、小学生のような生徒たちを横目に、一人自分の机で頬杖をしている者も居る。

1年C組の校庭側の窓の列の後ろから2番目の席。

夏の暑苦しい日差しを受け、爽やかに汗を流す男子生徒。

背は小さく、精悍な顔立ちをして、クールな振る舞いを見せる。


その名を、猿飛サスケという。


サスケは一人で考え事をしていた。

それは、皆のように夏休みの予定などという浮かれたものではない。

ある一点を見つめ、ただぼーっと頬杖をついている。

蝉が煩い。

ミーンミンミンミンミン

煩い・・・。

「ミーンミンミンミンミンっ」

うるさ・・・・あれ?

ぱっと振り返ると、幸村がサスケの耳元で蝉の鳴き真似をしていた。

「てめっ、何やってやがんだよアホ!!!」

ガタッと思わず席から立ち上がる。

幸村は学校の先生だが、腐れ縁でサスケとは親しい仲ではある。

その幸村はというと、にぱっと笑って手を振って見せた。

「やっほー、サスケv最近ぼくと会えなくて寂しかったかなあ?」

「んなわけねーだろキモチワル・・・。」

「やーん、ツンデレな所がまた可愛いっ!もうぎゅーってしたいっ!」

そういいながら、幸村はサスケにきつく抱きつく。

思わず赤面しながら、サスケがつっこむ。

「いや、もうぎゅーってしてるだろーが!!離せよエロオヤジッ!」

ぐぐぐ、と幸村の胸を押して引き離す。

幸村は大分満足した様子で、にっこにっこ笑いながら気にせず続ける。

「で、随分ぼーっとしてたけど、どしたの?悩み事カナ?」

「・・・・・。」

サスケは黙り込んでしかめっ面をしてみせる。

幸村はカクンと首をかしげる。

サスケはチラリと視線をどこかへ向けた。

幸村もその視線を追った。

視線の先に居たのは、一人の女子生徒だった。

耳の下らへんにおさげをして、眼鏡をかけていて、とても可愛らしい顔立ちの生徒だ。

彼女もまた、サスケと同じように机に頬杖をついて、何やら考え事でもしてるようだった。

幸村がにやついてからサスケに振り返った。

「なあんだ、サスケくんったら、ぼくに興味を示さなくなったと思ったら、意中の仔がいたのかあ〜v」

それを聞いて、サスケは先程抱きつかれた時よりも赤面になって、バッと幸村を睨みつけて、「バカヤロー!!違ェよッ!」と叫んだ。

それに続けて、心境を露わにした。

「そ、そんな、好きだとかじゃねェんだよ!ただ単に、最近元気ないような気がして、ちょっと気になってただけだっつーの!」

声のトーンを小さくして、しかし怒鳴ってサスケが暴露した。

だが、幸村の暴走は止まらない。

照れないでいいんだヨ〜vとサスケを冷やかす。

「気になるんだったら、声を掛けてらればいいのにい〜。サスケは本当に照れ屋サンだネv」

うりうりと肘でサスケを冷やかす。

そして、おどけた声でこう続けた。

「そんな恥ずかしがり屋さんなサスケくんに、幸村センセからのプレゼント〜v先生が、あのコに直接聞いてきてあげる〜v」

フンッ、とそっぽを向けるサスケ。

「・・・・・。」

少しの間があって、サスケが「どええッ!?」と振り返る。

「ちょまっ、いいって!ホント、頼むから!お願いします、やめてくだっさい!!」

最後らへんはなぜか敬語。

しかし、時すでに遅し。

「ねえねえ君、どしたのかな?元気ないゾ〜?ぼくに話して御覧よv」

トントン、とそのコの肩を叩いて、話しかけていた。

「え・・・?」

きょとん、と不思議そうな顔を幸村に向ける。

その姿を見て、幸村も思わずこう言った。

「可愛い!!」

そして、ぎゅっと抱きしめる。

その近くにいた全ての生徒が、ビクッと肩を震わす。

サスケもその一人だった。

そして、何よりも、抱きつかれた本人が、赤面したまま硬直している。


ダダダダダダダダ


ものすごい足音と共に、サスケが幸村に接近する。

そして、手の届く範囲に来ると、思いっきり幸村の頭をぶっ叩いていた。

「へぶしっ!」

と幸村が叫ぶ。

「へぶしっ!じゃねェよバカ村!!」

そう言って、女子生徒からバカ村を引き離す。

女子生徒はぽかんとその光景を眺めている。

「何バカやってんだよ!」

サスケが心底キレた声で怒鳴ると、幸村が「いやあ」と手を頭にやる。

「近くで見たら、想像以上に可愛かったから、ついね〜。てへっ。」

「チッ、このクソ村が・・・。」

呆れた声で吐き捨てると同時に、女子生徒に声をかけられた。

「さ、猿飛さん・・・?」

怪訝そうな表情を見せる女子生徒。

サァーっと顔が青くなる。

「サ、サンテラ・・・・。」

ぎこちなく振り向くと、女子生徒の名を呼んだ。
 

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