お題小説部屋

□奇妙な卵
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「アキラ・・・・。これは、何だと思う?俺はさっぱりだ。」

「俺に聞かれても、分かんねえよっ!梵っ!お前は分かるだろッ?」

「・・・・卵・・・だよね?」

『いやいや、それは分かってるって。』

アキラ・梵・ほたるの三人は、奇妙な卵を真ん中に置いて、うんうん唸っていた。

大体、なぜこのような物が三人の元にあるのかというと・・・。



「ア・・・アキラ・・・・。く、食いモン・・・・くれええええ!!」

牢屋に閉じ込められた生贄のように、梵はアキラにゾンビのような顔をして、手を伸ばす。

「うわあああ!!や、やめろよっ!!俺だって腹空いてんだよっ!」

アキラは内心ビクビクしながらも、パシッと梵の手を払いのけた。

「ほ、ほたるっ!お前、盗み専門だろっ?どっかの街に出て、食い物盗んで来いよ!」

「・・・俺は盗みとか興味無いし。お腹も全然空いてないし。」

ほたるの「お前の腹はどうなってんだよ」発言に、アキラは深ーーーーい溜息をついた。

「全くぅ・・・。梵は躯はデカイくせに、何にも役に立たないんだからあ!!ねっ、狂ww」

灯は狂の腕に抱きつく。それを目撃したアキラは、

「あーかーりーっ!!狂に引っ付くなっ!オカマのくせにっっ!お前も少しは考えろよなっ!!」

(ぷち)

「あー、もう!しかたねーから、俺と梵で街に盗みに行くよ。」

「なに・・・」

「な、何で俺なんだよ!ほたるにしろよな!!」

「アキラ・・・」

「嫌だ・・・。めんどくさい。」

「かよわい灯たんの・・・・」

「俺だって面倒だよっ!!そんなら、梵と灯でいいじゃんか!」

「・・・・・・えよ・・・・。」

途中に聞こえる奇怪な声に、喋り終わって気がついたアキラの顔は、一気に青ざめた。

「ああああああ灯・・・?」

「アキラてめええええ!!!かよわい灯たんの事を侮辱するんじゃねええええええええ!!!さっさと梵連れて街に盗み行ってこいってんだよーーーー!!!!」

(ドゴオッッ!!)

アキラの姿は向こうの木の上へと消えた。

「・・・ないすばってぃんぐー。」

一人、ぱちぱちと拍手をするほたるに向かって、灯は投げキッスをした。

そのこっちに飛んでくるキスを、さっと避けたのは、灯が向こうを向いてから。

梵なんかは一人でお経を唱えてたりもする。

「この灯様に逆らったらこうなる事を、覚えておきなさいwアキラーーー!!さっさと行ってこーーーい!!」

「ぐあッ!くっ・・灯め・・・いつか殺す・・・。んっ?」

その時、アキラが見つけたのが奇妙な卵だった。



「これ・・・どうするの?」

「食べるのも良いよなっ!腹、空いてるし!」

「待て待て。売ったら結構高値が思わねえか?半年は過ごせそうな。」

この一つの卵の使い道をやんややんや言ってると、灯様(自称)がぬっと現れた。

「なーーにやってんだコラ。さっさと盗み行って来いっつっただろーが・・・。」

「ま、待て、灯・・・おち、おち、落ち着け・・・!!見ろ、この卵、凄いだろ?」

梵がおずおずと、灯に卵を差し出した。

「うーん?あらら、キレイな色ねー。」

灯は卵を見るなり、梵の手からさっと卵を掴み取った。

「だろ?結構いい値がつくと思わねえか?」

「うーん、そーねー。」

灯が梵に卵を返そうとしたら、卵は灯の手から抜け出し、ぐしゃっと音を立てて、割れた。

・・・と、いうか、どう見ても灯がワザと落としたようにしか見えなかった。

『あああああああああ!!?』

梵とアキラは絶叫して、卵の元へ駆ける。

「な、な、何すんだよっ!せっかくの貴重な食料をッ!!」

アキラは灯にビシッと人差指を突きつけた。

「ああん?アキラ、この灯様に何か文句があんの?え?あ?」

灯にそう言われたアキラの人差指は力なく折れ曲がった。

「大体、見てごらんないさいよ!この卵ッ!!」

灯に粉々になった卵の残骸を指差され、アキラ・梵(一応ほたる)は、卵を見てみた。

「う・・・わああ!?何なんだ!?この色はっ!!」

卵の中身は、本来、白身であるべき部分は、灰と血とゲロ(おい)が混じったような色をしていて、本来、黄身であるべき部分は、コケのような深ーーい緑をしていた。

「本ッッ当に馬鹿ねえ!普通に殻の色からして、アリエナイでしょっ!?アキラ、あんた、私達を殺す気ッ!?」

灯は完全に勝ち誇った顔をして、腰に左手を当て、右手はビシッとアキラに人差し指で指していた。

そして、止めをささんばかりに、その卵をぐしゃっと踏み潰した。

「くっ・・・・!!わーった!分かったよッッ!!悪かった!俺は馬鹿だった!でもなッ!売ろうとしてた梵も馬鹿―――」

「待て待て、売るのは別にいいだろ。」

梵の何気ない一言で、アキラは完全に折れた。

「待ったくぅ。四聖天はこの灯様が居ないと全ッ然だめじゃな――――。」

「ん・・・。この卵、壬生の本で・・・見たこと・・・ある・・・気がする。」

『なんだと!?』

三人がハモった。

一番声がデカかったのは、灯なのかもしれない。

「な、な、な、何よ、ソレ!詳しく教えなさいよッ!!」

灯がほたるの襟元を掴んで思い切り揺すった。

そのお蔭でほたるの首はカクンカクンと大きく揺れた。

「えと・・・ね。前、壬生に居た時にね、辰伶が急に俺の部屋に押しかけてきて、「たまには貴様も勉強もせねば、壬生の戦士として失格だぞ!!」とかなんとかで、分厚い本を何冊も抱えて来て。辰伶が帰ったら燃やそうと思ったけど、読み終わるまで居るとか言い出して・・・。仕方ないからパラパラ適当にみてたらさっきの卵が載ってた・・・気がする。」

「な、な、なんでそんな大切な事を先に言わないのよ!?」

灯が更にほたるの襟元を強く揺する。

「だって・・・。聞かれなかったし・・・。」

「いやいやいや!!聞かなかったけど!聞いたじゃん!!ねえ!?」

そこでアキラが割り込む。

ほたるはアキラを横目でチラッと見ると、灯に視線を戻した。

「で!?その卵はどういう物だったの!?」

「んと・・・。確か、千年に一度だけ、壬生天然記念物のすーぱーらぶりーがらすっていう鳥が卵を産むんだって・・・。その卵の白身を一滴飲めば、どんな病気も完治し、その黄身を一滴飲めば、どんな願いも叶うんだって・・・。」

『すっ・・・すーぱーらぶりーがらすぅぅぅうぅぅうう!?』

何だ、その超☆キモキモ鳥はっ!!

壬生って・・・意外と・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

しまった!どう表現したら良いか分からない・・・!!(スミマセン)

「どんな願いも!?」

そこで、灯がほたるの耳元で、大声で叫んだ。

どうせ狂との結婚の願いを叶えさせてもらおうとか思ったんだろ。

アキラと梵は本能的に(?)そう悟った。

「うん・・・。その卵はね・・・確かね・・・。五百万両の値がついた・・・気がする・・・よ。」

『ごっ・・・五百万両ーーーー!?』

それは・・・・!!

き、狂が五人分・・・!?

「ほほほほほほほたるーーーーーー!!!!」

灯がほたるの不意をついてほたるの腹を思いっきり殴りつけた。

「ふぐッ!!」

不意をつかれたほたるは、思わずキャラじゃない発言を・・・(スミマセ;

「あ、あんた、何そんな大切なことを―――!!そんな事、知ってたら私だって――――!!!」

「いやいや、どうみても逆切れだよな。」

「そうそう。せめて、最後の止めをささなけりゃなー。」

灯が絶叫するのを横目に、梵とアキラはぼそっと呟く。

しかーし!!

天下の灯様がソレを聞き逃すわけが無かったのだッ!!

「何だって・・・?」

「ひ・・・・ひいいいいいいいいい!!!!」





その後、逆切れした灯に梵とアキラが半殺しにされた事はいうまでもないだろう・・・・。

梵、アキラ――――。

あんたらが自由になる時はまだ遠い―――・・・・。

『うるせーーーーーー!!!(泣)』
 

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