遊戯王小説
□ある蒸し暑い日
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ある夏の日。
昨日クーラーが壊れてしまった上雨が降り湿度が増しいつも以上に蒸し暑い日。
いつもなら寝相よく寝ている青年、獏良 了は流石に今日は無理らしく、布団を奥に押しやり、ごろごろと暑さから逃れるため転がっていた。
体中に汗が流れる。
どかっ
獏良は寝床の近くにある机を蹴っ飛ばした。
しゃりん
それと同時に何かが落ちてくる。
美しい円の黄金製の物だ。
彼の親友や彼はそれをこう呼ぶ。
『千年リング』、と。
昔獏良はこれを身に付けていた。
いつも父は忙しい身であり、滅多に獏良に会えず、旅行は勿論、家族団欒すらなかなか出来ずにいた。
これが父からの初めてのプレゼントで御守りだといわれたから、獏良は身に付けていた。
が、しかし。
千年リングは御守りでは無かった。
それどころか自分の親友の魂を人形に封じ込めたあげく、最終的には親友どころか獏良さえも殺そうとした邪悪な『人格』が宿っている恐るべき代物だった。
獏良は捨てようと思ったがせっかくの父のプレゼント。
捨てられるはずがなかった。
せめて自分の目に付くところへと置いていた。
かしゃん
千年リングが寝床に落ちた。
そこに獏良がごろりと転がり…、
接触した。
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