遊戯王小説

□ある蒸し暑い日
1ページ/8ページ

ある夏の日。

昨日クーラーが壊れてしまった上雨が降り湿度が増しいつも以上に蒸し暑い日。

いつもなら寝相よく寝ている青年、獏良 了は流石に今日は無理らしく、布団を奥に押しやり、ごろごろと暑さから逃れるため転がっていた。

体中に汗が流れる。




どかっ



獏良は寝床の近くにある机を蹴っ飛ばした。



しゃりん



それと同時に何かが落ちてくる。

美しい円の黄金製の物だ。

彼の親友や彼はそれをこう呼ぶ。

『千年リング』、と。

昔獏良はこれを身に付けていた。

いつも父は忙しい身であり、滅多に獏良に会えず、旅行は勿論、家族団欒すらなかなか出来ずにいた。

これが父からの初めてのプレゼントで御守りだといわれたから、獏良は身に付けていた。

が、しかし。

千年リングは御守りでは無かった。

それどころか自分の親友の魂を人形に封じ込めたあげく、最終的には親友どころか獏良さえも殺そうとした邪悪な『人格』が宿っている恐るべき代物だった。

獏良は捨てようと思ったがせっかくの父のプレゼント。

捨てられるはずがなかった。

せめて自分の目に付くところへと置いていた。



かしゃん



千年リングが寝床に落ちた。

そこに獏良がごろりと転がり…、



接触した。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ