ハロウィンとあるカップルの会話
「そういえばもうすぐハロウィンですね」
「そうだな」
「……って言いつつ伊佐奈さんは今年ももうクリスマスの準備かぁ、相変わらず早いですよねー。去年も今くらいに準備してましたよね」
「そうだったか」
「そうだった! トリックオアトリート言ったらクリスマス用の試供品投げてよこしたの誰だと! あの後セクハラもするし!」
「ああそうだったな」
「今年はそうはいかないんですよ! 当日サプライズで来たりなんかしないし伊佐奈さん忙しそうで無理に時間作ってもらうなんてやですしそもそも大前提として無理してほしくないさせたくないと言いますか、去年みたく今年も試供品投げられたらいやだなーって思ってたりするしそれよりなによりなんてったってうちだって今ハロウィンで大盛り上がりで、サーカスのみんながすごく仮装がうまくて、パーティーですよ楽しいですよ! サーカス団と動物園のハロウィンイベントでお客さんも急上昇……」
「華」
「それに私」
「は、な」
「……」
「返事」
「う。は、はい」
「去年の仮装は魔女だったな」
「いぃっ!? 覚えて……っ!?」
「よく似合ってた。今年も着ろよ。なあ華。見たい」
「あ、う、ひ、人の話……! 私も今年は……」
「俺が見たいと言ってるんだ。そして俺は計画的に時間を作れる有能な人間だ。わざわざ動物園まで足を運んでやるさ。問題ないだろう?」
「なんでそんなまっくろな笑み……!」
了