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□運命と言う戯言が僕を弄ぶ
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新入生、入場。

教師のお決まりの掛け声で、まだ真新しい制服を身につけた新入生が、足並みを揃え入場してくる。


「なぁヨハン、一年生で可愛い子いるかな?」

「私にも分からないよ。それに私は一年生には興味は無いからな」

「だからと言って本読むことないだろ?一年生可哀想」

「興味が無い、と言ったら納得するか?授業が無いなら、私は早く家に帰りたいものだ。体育館は寒すぎる。」


緊張した顔つきで己の席につく新入生を見ようともせず、ヨハンと呼ばれた男はまた本を捲る。
そのヨハンは対照的に、今年三年生になったロックオンは、一年生の顔を一人ずつ観察する。


「お、あの一年生、下向いて歩いてる。緊張してんのかね。」


ロックオンがそう呟いた後に、ヨハンも顔を上げた。


「男子生徒だな。制服のサイズが大きいようだが…」


黒い、癖のある髪をふわふわと揺らしながら、下を向いて歩く男性生徒。
見た目身長も低く、体も細い。ヨハンが言った通り制服もサイズが合っていなかった。


「顔見えないなぁ。なんだよ、最近の男子は。」

「まぁ、どうせ男子だろう?君の期待してる可愛い子とは、違うんじゃないのか?」

「それもそうだな。さて、俺も寝るとしようか」


そう言うとロックオンは長い足と腕を組み、目を瞑る。


新入生を呼ぶ教師の声が、体育館に大きく響き渡っていった。




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