風吹きぬける大地W

□闇の来訪と光への旅
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いつの間にか見知らぬ場所にいた。

「ここ……どこよ」


ミレイが寝ていたのはポケモンセンターの一室だったはず。


だというのに、ミレイが起きた場所は屋外。

それもミレイがいた町ではなさそうだ。


「レオー、いないのー!?」

大声で叫んでみる。

「レオー? レオ、レオー!?」

普段なら嫌がる名前の連呼。


いつもなら、どこからともなくレオが現れるというのにその気配もない。


「……レオ、どこにいるのよ。ディア、ニュイもいないの!?」


普段傍にいる2匹もいない。


不安気に周囲を見回してから、ミレイはようやく携帯電話の存在を思い出した。


しかし、圏外の表示を見て肩を落とした。


「……レオ、どこにいるのよ」

レオがいない。連絡もつかない。


それだけでとても不安になる。


「……ねえ、レオ」

どんなに呼んでも、答える人がいない。



背後で影が蠢いていることに、ミレイは気付かなかった。



「……え?」

それでも後ろを振り返ったのは、今までレオといたことで少しは危機管理能力が育ったからか。



ミレイが見たのは、黒い影が自分に襲い掛かってくるところだった。



とても避けられない。



しかし、影の牙がミレイに届くことはなかった。


「やっほー、平気?」

影を巨大な四つの刃がついた武器で切り裂いたのは、黒髪をショートヘアにした、活発そうな少女。

「……うん、助かった。ありがとう」

助けられた、ということが理解できてミレイはすぐに礼を言った。

「私、ミレイ。……ねえ、ぶしつけで悪いんだけど……ここ、どこ?」

「ここはトラヴァースタウンだけど」

「トラヴァース……知らない」

「あ、やっぱ? そうじゃないかなって思ったんだ〜、ユフィちゃん冴えてる〜」

どうやら少女はユフィというらしい。

「ねえ、疲れてない? もしよかったら、私たちの家に案内するよ」

「え、いいの?」

「モッチロン!」

喜んで、ミレイはユフィの誘いに乗った。







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