風吹きぬける大地W
□闇の来訪と光への旅
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満月の夜はあまり好ましくない。
夜だというのに明るすぎる。
それに
「……何の用だ、来訪者」
レオが対峙するのは、全身を黒いコートで身を包んだ人物。
体格からして男……だろう。
「御身自らお出ましとは。私も随分と高く買われたものだ」
「警戒するのは当然だろう。賢者の名を騙る虚ろの者が」
しかしレオはその男の正体に、おおよその目処をつけていた。
「……残念ながら、私は名を騙ってなどいない。私こそが賢者だ」
「元はその弟子のくせに」
それにレオは嘲り、そのまま言葉を吐き捨てた。
「さっさと失せろ。目障りだ」
「そうはいかない」
交渉は決裂。
いや、そもそも相手が聞き入れるはずがなかったのだ。
「……そうか」
レオはそれだけ言い、ディアとニュイをボールから出す。
さらに、後方に展開させていた術を発動させた。
そこに現れたのはトルエノ、クレンテ、フラムの3匹。
その3匹が吠え、男に飛びかかる。
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