風吹きぬける大地W

□珍しい日
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レオの左隣をミレイが歩く。

それはいつものことなのに、何故だか新鮮に感じられた。

「……えへへ」

嬉しくて、ミレイはレオの腕に抱き着いた。

「……何だ」

それにレオは眉を顰めるものの、何も追及しない。

「べっつに〜」

やたらご機嫌なミレイ。

レオは溜息をつくだけに留め、ミレイを振り払うことはしない。

「……あ、ねえレオ! あの服可愛くない?」

ミレイが服屋のマネキンに興味を示した。

「動きにくそうだな」

「………じゃあ、あれは?」

「バイクに乗りにくそうだ」

「…………あっちは?」

「論外。すぐ破れる」

「……………」


確かにレオのいう事も分かる。


……分かる、が。納得は出来ない。


「……無理に、着飾る必要ないだろうが」

レオがそっぽを向く。

「下手に洒落た服を着るより、お前はそのままの方がいい」

「……へ、それって」

「それに、お前があんなヒラヒラな服着ても似合わないと思うしな」

「に、似合わないって何よ!」

真っ赤になって声を上げるミレイ。


それに、レオは笑う。


「着るのはミレイの自由だがな。……俺の好みじゃない」

「……え?」

思わずミレイは聞き返した。

「あんな、体に纏わりついて動きにくそうなの、お前に似合わないと思う。ミレイには、もっと動きやすそうなのがいい。まあ、これは俺の好みだがな」

そこでレオは、ミレイを見下した。

「……ん、何だ」

「え、だって……レオが……私の服、気に入ってくれてて……え、え!?」

何故か混乱しているらしい。

顔を赤らめ、レオに背を向けるミレイ。

「……ったく」

レオは溜息をつき、ミレイの背中に向けて言った。

「下手に飾るなんて、らしくない。お前は常に自然体の方がいい」


「え、え……!?」

恐る恐る、ミレイがレオを見る。


ミレイはもう、トマトかと思うくらい真っ赤だった。

「そ、それって……?」

「どうした?」

ニヤニヤと笑うレオ。


それを見て、ミレイは怒鳴った。


「か、からかったでしょ!」

「そりゃあ、ミレイの反応は面白いからな。……だが」

レオは笑みを止め、ミレイの目を真っ直ぐに見つめる。

「言ったことは本当だ。……ミレイは、そのままの方がいい」

「なっ……!」

まだまだ赤いミレイの腕を、今度はレオが取った。

「服を買うくらいなら、装飾品を見繕ってやる。それならかさばらない」

ミレイが混乱しているまま、レオはアクセサリー店を目指した。











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