風吹きぬける大地W

□前章
2ページ/3ページ



「……スナッチ団が強奪したポケモンが、とある組織に流れてる」


レオは盗み聞きしている者がいないか、盗聴器がいないか調べてから、口を開いた。


「は? それがどうかしたのか?」

そんなこと、今更だ。


例え元は人のポケモンだとしても、スナッチした以上スナッチした人のものだ。


捉えたポケモンはそのまま手持ちにするか、他へ売り払う。

そうやってスナッチ団は大きくなったのだ。


「……俺が入った頃、スナッチ団はまだ強引に人のポケモンを奪うだけだった」

「ああ」

「それが、ヘルコンザがスナッチマシンを持ってきて変わった」


少なくとも、スナッチ団にスナッチマシンを創り出すような技術者はレオを含めいない。


誰からスナッチマシンを受け取ったのか、ヘルコンザは口を割ろうとしなかった。


「……この前な、パイラの広場で……俺がスナッチしたアサナンを持ってる奴を見た」

「……まあ、パイラの連中ならスナッチ団が奪ったポケモン持っててもおかしくないよな」

「そのアサナンな、捕まえる前にヤッチーノがヘマして、額に傷をつけちまったんだよ」

レオは自らの米神のあたりを指で触れる。

「すぐに治して、目立たなくしたんだが……」

「その怪我の跡が、あったのか?」

それにレオが頷く。

「でもそれが、どうかしたのか?」

レオがスナッチしたポケモンを、パイラのトレーナーが買った。ただそれだけのこと……の、はずだ。

「……視えたんだよ」

「視えたって……何を」

「どす黒く濁った、黒い波導がな……」

「……マジかよ」


マサはその波導を見ることは出来ない。

出来るのは“感じる”ことだけ。


だが、レオが嘘を言うわけがない。

それにマサが調べれば簡単に露見しそうな嘘をつく理由もない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ