風吹きぬける大地W
□さて、これは何度目?
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何かを忘れている。
そんな焦燥に駆られるようになったのはいつの頃からだろうか。
ふとした瞬間。
空を見上げているとき、食事をしているとき、ポケモンバトルをしているとき。
タイミングは様々だが、時折どうしてか無性にもどかしさを覚える。
しかし、それもすぐに消え去り、マサはまた日常生活に戻るのだ。
少なくとも、今まではそうだった。
だというのに。
「……くそっ」
気分が晴れない。
何を忘れているのかも分からない。
焦燥は日に日に強くなっていく。
今だって、せっかくポケモンバトルで勝ったというのに。
少なくとも体に不調はないのだから、病気の類ではないのだろう。
では一体何なのか。
「……俺は一体、何を忘れているんだ?」
思いを口にしても、気分が晴れることはなかった。
マサを不安そうに見つめるブルーとラルトスの様子に、本人が気づくことはなかった。
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