風吹きぬける大地W

□とばっちり? 自業自得?
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さて、どうするべきか。

クレインは腕を組んで考えた。

足元には非常に分かりにくいが手芸用の糸のような、細い……でも殺傷能力皆無の糸が張られている。

「うーん……」

クレインは暫く考え込んでから、一歩踏み出した。


糸が切れる、軽い感触。


とたん、何かが死角から飛んでくる。

視認していたのでは間に合わない。

反射的に跳びのき、回避する。

床に突き刺さったのは……先が吸盤がついている矢。


「………」


仕掛けは古典的。

でも罠はあざとい。


「これは……どっち、かな?」


だが、思考に耽る時間が与えられない。


吸盤が床に吸い付いたのが合図となったのか、突然水が流れてくる。

とっさにクレインは跳び、窓枠の僅か数センチの足場に着地した。


見た目に変化は無い。

だが恐らく、スタンガン程度の電流が流れているはずだ。


目を眼鏡の奥で細め、体重を支えている窓枠を握る手に力を込めた。

そして直ぐ様足場を蹴り、天井に着地する。


重力を操っているのだ。


「……さて」


視線を周囲に巡らせる。


そして目についたものは……。


「……あれ?」

思わず小首を傾げた。













リュウトは叫びたくなった。

表面上では否定していても、クレインがドッキリに引っ掛かる場面に興味がないと言えば嘘になる。


だというのに。


「マサさん、どこ行っちゃったんだろ……」



懸念はひとまず置いといて、リュウトはシャドー戦闘員の残党とのポケモンバトルを開始した。

「お兄ちゃん頑張れー!」

「リュウトくん、しっかり!」

マナとミレイの声援が響いた。







いつの間にか姿を消していたマサはというと。

「玄関のは囮ってことかよ」

正面から正々堂々と挑んできた戦闘員は囮。

本命は裏から忍び込み、背後からクレインとリュウトの強襲。

「悪いけど、させねーぜ」

掌に拳を打ち付け、マサは気合いを入れた。













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