風吹きぬける大地W
□弟子と師匠
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「でもレッド、どこでそんな戦術思いついたの?」
「これは……俺がやられたっていうか……」
「やられたって、誰によ」
こういうときもだが、レッドは嘘がつけない。いや、嘘をつけないと言うべきか。
「えっと……レオに」
「え、レオさんとバトルしてたんですか?」
驚いて、イエローがレッドを見る。
レオと言えば、強いということは知っているがあまりバトルを見たことがない。
何度かブルーやゴールドがバトルを挑もうとしたのだが、その度に断られてしまっていた。
連れているポケモンもエーフィとブラッキーの2匹だけしか知らない。本当に2匹しか連れ歩いていないのか、それとも隠し持っているのかすら定かではない。
「……まあ、な」
照れ隠しなのか、レッドが後頭部を搔く。
「……あのレオが、ねえ」
「随分仲が良いんだな」
「そりゃあ、まあ……」
「……もしかして、レオ先輩がレッド先輩の師匠なんスか?」
ゴールドとしては、バトルをしてもらっている=師弟関係、という単純な公式だったのだろう。
だがレッドはその言葉に硬直してしまった。
それも不自然に。
「……レッド?」
「……レオが、師匠、なのか?」
「え、えーっと……」
レッドの視線がさ迷う。
当たりだ。
そのとき、タイミングがいいのか悪いのか、レッドの携帯電話が鳴った。
「あ、はいはい」
すぐにレッドは応対した。
「え、あ……っ。ゴメン。……あ、あの、さ……うん、それが……ごめんなさい」
突然謝られたらしく、電話の相手口は沈黙したようだ。
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