風吹きぬける大地W
□一件落着……?
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「……す、すごかー」
「こ、怖いです……」
「何なのよ……せっかく終わったと思ったのに……」
サファイア、イエロー、ブルーと小声で言う。
大きな声じゃないのは、レオの気を引きたくないからだろう。
「どうした? 黙ってたら何も分からないんだが」
嘘だ。レオなら黙ってたった分かるはずなのに。
……ということは、ちゃんと言えば納得してくれる……かもしれない。
「頭の中でごちゃごちゃ考えているよりも、口に出した方がマシかもしれないが」
「って、考え読んだの!?」
「どうせ、お前のことだからどうやって俺を宥めようか考えていたのだろう? それくらい分かる」
「うっ……」
やっぱりお見通しだ。
「さあ、言いたいことは?」
レオの口が弧を描く。
ディアとニュイがレオのあの笑顔を見たのは、スナッチ団からスナッチマシンを奪った時以来だ。
「……ご、ごめんなさい!」
レッドは頭を下げるしかなかった。
「相手の実力を見誤ってました! 迂闊に手を出しました! 自分の状態を把握してませんでした!」
ひたすら謝るレッドに、グリーン達は目を丸くする。
「……俺は、ロケット団がきな臭いと話したよな?」
「…………忘れてました」
レオは大きな溜息をひとつ。
「……お前の記憶力はどうしようもないが、せめてあんな騒ぎに巻き込まれてもこんな面倒な事態にならないくらいの実力は欲しいな」
「……あの、俺」
これからのことが容易に想像できて、レッドは身を縮こませながらも口を開く。
「意見出来る立場だと?」
「うっ」
今のレッドの立場は非常に弱い。
『レオ』
ライコウ、エンティ、スイクンの3匹がやって来る。
「トルエノ……クレンテ、フラム」
レッドへの追及を保留し、レオはライコウの頭を撫でた。
「おっ、もしかしてあの時のか?」
レオの雰囲気が和らいだのを感じ、ゴールドが気安くフラムに手を上げる。
「……そうか、こいつらが世話になってたんだったな」
クリスタルは、スイクンが自分に向かって目礼をした……ような気がした。
「……わざわざその3匹も呼び寄せたの?」
「ジラーチも絡んでたからな。あいつに頼んだ」
『あいつ』というのはホウオウのことだろう。
世界広しと言えど、ホウオウと対等に話せる人間は限られている。
そしてこの3匹が従うのも。
「……やはり、そのライコウの本来のトレーナーは君なんだね」
リラが溜息をついた。