風吹きぬける大地W

□いつもと違うのは
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「ねえねえ、レオはたこ焼きとお好み焼きと焼きそばどれがいい?」


「好きにすればいいだろ? 俺は食べない」

「じゃあお好み焼きね! お箸は2膳!」

「おい、俺は食べないと……」

レオが止める声も聴かず、ミレイはお好み焼きの屋台に走って行った。

「……ったく」

レオは溜め息をつき、さり気なく視線を巡らせる。

『……レオ、そんな警戒しなくていいからさ』

『心配なら私達が周囲見回りするし』

『レオはミレイとゆっくりしな!』

余計な気を使ってくれたらしい。2匹が人混みの中に消えていく。

「ったく」

もう1度毒づく。

「お待たせー! ……あれ?」

お好み焼きを買って来たミレイだが、ディアとニュイがいないのに気付いて左右を見る。

「ディアは? ニュイは?」

「……知らん」

「もしかして、私たちに気を使った!?」

「……2人共、適当に遊んで来るだろう。俺よりも世渡り上手だし、力の抜き加減を知っている」

「へ〜。世渡り下手だって自覚してるんだ」

ミレイの笑顔を見て、レオは視線を逸らす。

「んじゃあさ、私がレオの代わりに人付き合いしてあげるから!」

「無理だな」

「即答しないでよ!」

「ミレイに任せられるか」


特に裏社会で作り上げたルートなど。

レオの付き合いはミレイには危険すぎる。


「……それより、それ、冷めるんじゃないか?」

「あっ」

慌ててお好み焼きに箸をつけるミレイ。

それをそのまま頬張るのかと思えば、何を考えたのかレオに差し出した。

「はい、あーん!」

「………」


何をどうしろと。


思わず半眼になり、レオはじっとミレイを見る。

「……何よ」

「……フッ」

「きゃっ」

額を小突かれたミレイが、思わず目を閉じてしまう。


その隙にミレイが差し出したお好み焼きの切れ端が無くなっていた。


「あれ? あれ? ……いつの間に?」

一瞬落としたのかと思ったが、欠片が下に落ちた様子はない。


はっとしてレオを見るが、レオは素知らぬ顔をしていた。
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