風吹きぬける大地W
□悩むもの
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「……ならよ、護符は?」
「以前、宝石を送った。ピンクオパールのブローチだ」
「……そうか。じゃあ、ブレスレッドはどうだ?」
「ブレスレッドか……。それなら瑠璃を繋げるのもいいな」
やはり手作りらしい。
お洒落にもなるし魔除けにもなる。下手なものよりは上等だ。
「……僕が思うにはさ」
ようやくレオの方針が固まったときに、クレインが口を開いた。
「ミレイちゃんは、レオとずっといるのが1番の贈り物だと思うよ」
「そんなものか?」
「リリアさんに聞いたことがあるんだけど、女性は見返りを求めてるわけじゃないってさ。だから、ずっとミレイちゃんと一緒にいればいいんじゃない?」
「それは……」
レオの表情が歪む。
「そりゃあいいじゃねえか。レオ、それホワイトデーのプレゼントにしろよ」
「だが……」
レオの視線が泳ぐ。
「……俺にそのプレゼントは難しいだろう。やはり、物にする」
「そういわずによ」
マサがレオの肩に手を回した。
「じゃあさ、1年事に更新すればいいんだよ」
その反対側をクレインが固める。
まるでレオを逃がさないようにしているかのようだ。
「……カードじゃあるまいし」
「おっ、いいんじゃねーか? ずっと一緒にいる券、とかか? 母の日とかに子供が渡すって言うしな」
レオは深々と溜め息をつき、強引に2人の手を振りほどく。
「……俺は、そんな確証のない約束は出来ない」
「だからこそ、だろ」
「言霊があるからね。かえって言った方が実現するものでしょ」
「………だと、いいがな」
そう言い残し、レオは行ってしまった。
その言葉にマサとクレインは顔を見合わせた。
「……以前に比べて、前向きになったか?」
「これも、ミレイちゃんのお陰だね」
確証のない未来にも希望を見出そうとしているのだから。
以前のレオなら絶対にあり得なかった言葉。
「……うーん、もうひと押しかな」
「来年、か?」
「エイプリルフールは……難しいかな」
どうやらクレインは次の計画を練り直したらしい。
何とも頼もしい仲間だ。
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