仮想と現実U
□関係
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「……そういえば、俺ってどうなってんだろ」
トキオがそのことに疑問を持ったのは、The Worldに取り込まれてから数日経った頃だった。
とあるフィールドで、何もすることなくただ話をするだけの中、ふと気になったのだ。
「はぁ?」
ハセヲがトキオを見る。
トキオがハセヲと話すようになってから分かったことがある。
確かに『死の恐怖』と呼ばれ、PKKとしての実力も本物。
何より漂わせている雰囲気が怖い。
それは生来のものだったらしく、シッグザールの洗脳から解放されてもそれが消えることはなかった。
だが普段はそれは形を潜めている。
そして、意外と面倒見がいい。
押し付けられたとはいえギルマスを務め、慕われているのも分かる。
「体がThe Worldに来てるってことは、行方不明なんじゃない?」
司が首を傾げた。
「それ、やばいじゃん!」
俄かに慌てるトキオ。
口うるさい両親とはいえ、きっとトキオが行方不明になったら心配しているに決まっている。
「もしくは、未帰還者になってるか、だな」
「未帰還……者?」
「知らないのか?」
すると、ハセヲは少しだけ意外そうな顔をした。
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