救済と撲滅
□料理の上手い下手
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モルテから解放され、キリエは息を吐いた。
それからモルテの視線に気付き、気まずそうに目をさ迷わせる。
「ほら、僕食堂で働いてたじゃん。だからじゃない?」
「……つまり、食堂で働いたら自然に上達すると?」
「きっとそうだよ!」
「それで上手くなったら苦労しないわよ!」
「モモモモルテ、や、やめやめやめ〜!」
再び揺さぶられるキリエ。
「というかモルテ、どうしてそんなに料理上手くなりたいの?」
「ど、どうしてって……」
今度はモルテが言葉に詰まった。
「……悔しいからに決まってるじゃない!」
モルテはキリエに指を突きつけた。
「え……?」
「普段戦えないし使えないのに料理だけは上手いなんて……!」
「モルテ……?」
「だから言いなさい!ほら早く!」
そう言われても答えられないものは答えられない。
「……け、経験の差……、かな……?あ、でもモルテ……」
肩を落とすモルテ。
キリエはそんなモルテの肩に手を乗せた。
「無理して上手くなろうとして、怪我したら危ないよ。ほら、僕、料理しか取り得がないからさ。せめて料理だけはやりたいし……」
「キリエ……?」
「だから、少しでもモルテの役に立ちたいし……それじゃ、駄目?」
にっこりと笑うキリエ。
「……ふ、ふん!仕方ないわね」
決まりが悪そうに、モルテは顔を背けた。
「……どうでもいいが、俺のことを忘れてないかクマ……」
寂しげなトッピーだった。
END