救済と撲滅

□変わった君
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わずかに表情を歪めたキリエを見てアグニスは厳しい表情をする。


記憶媒体を失い、モルテと会ってからキリエは変わってしまった。


感情というものを持ってしまったのだ。



今までは正常に機能していたシステムが異常をきたそうとしている。


その事にキリエが気付いているかどうか。



「……キリエ」

「おじさん、次手伝う事は無い?」

にっこりと笑うキリエ。


すでにその顔はデストラクトではなく、ただのキリエ・イルニスだった。


そう、この表情ですら過去のキリエには無かったものだ。


「……分かってるよ。僕はデストラクトだもの」

1瞬だけ「デストラクト」に戻ったキリエは、すぐにまた笑みを浮かべる。

「そうだ、あの子達と遊ぶ約束してたんだ。行って来ていい?」

「……ああ。構わんよ」

「ホント!?じゃあ行ってくるね!」

小走りでキリエは店を出て行った。


アグニスは目を閉じ、それからはっとしていつの間にか止まっていた料理の仕込みを再開した。






END
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