風吹き抜ける大地U

□コンテスト前は……
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ポケモンセンターの裏の、人目につかない場所にレオはいた。

準備運動で軽く汗をかき、その上でさらに体を動かす。


相手はディアとニュイだ。


『行くぞ!』

ニュイが飛びかかる。


ポケモンに生身の人間が挑むのは怪我……場合によっては自殺行為だ。


だが2匹とも手加減はない。


相手がレオだからだ。


生半可な攻撃ではこちらが怪我をする。


突進してくる攻撃を余裕で避け、時間差で体当たりしてくるディアを迎え撃つ。


そこでレオの視界が奪われた。


ニュイの砂かけだ。


反射的に目をつぶってしまったレオだが、ディアの動きは見えていた。

『きゃっ!』

ディアが地面に叩きつけられる。

それに怯まず、ニュイが飛びかかる。

反射的にレオは拳を振り……さらに1歩踏み込んでローキックを繰り出した。


確かな手応え。


『うわっ!』

ニュイまでも地面に転がる。

始めに飛びかかって来たのは影分身で本命はこれだったのだろう。

「……かえって目が見えなかったから影分身だと分かりやすかった」

『……じゃあ砂かけは失敗か〜』

『いいアイディアだと思ったんだけどね……』

「さすがに意表を突かれたが、視覚に頼っていない敵を相手にする場合は、むしろ視界が奪われることにより他の感覚が鋭敏になる場合もある」

砂を袖で拭い、予め用意してあったタオルで汗を拭う。

「……何か用か?」

視線を向けると、ヒカリがやって来たところだった。


先程の特訓は見られていない。


「あの……ミレイからレオが、コンテストバトルも出来るって聞いて……」

「……ああ、ヒカリはコンテストか」

これがサトシだったらバトルと行くのだろうが。
レオがコンテストに出場していることを知って探したのだろう、足下にはポッチャマがいる。

「生憎俺は人に指導できるほど出来た人間じゃないんでね」

「え……?」

するとヒカリは驚いたようにレオを見る。

「コンテストだって参加する気は本当はない」

『センスはあるのにね』

ディアが溜め息をついた。

「……どうして? 優勝する実力だってあるのに?」

「目立ちたくないのと……俺に華やかな舞台は似合わないからな」

「え……?」

「……気にするな。とにかく、俺に頼らない方がいい。……お前にはお前のやり方があるだろう?」

それだけ言うと、レオはディアとニュイを連れて行ってしまった。










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