風吹き抜ける大地U

□弊害
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「それより、終わったのか?」

「うん、ほら!」

ミレイの手には食料の類が入った紙袋がある。

『ちゃんと頼まれたのは全部買ったから安心して』

「良かった」

「ちょっと〜、私じゃなくて何でディアの言葉を信じるのよ」

「分かってるだろ?」

レオは笑みを浮かべた。


「ねぇ、あの人格好よくない?」

「ホントだ〜。誘ったら来るかな〜」

「でもコブつきだよ?」


どこからかそんな声が聞こえてきて、ミレイのコメカミが引きつる。


「ちょっ……ッタ!」

額を弾かれ、ミレイが呻く。

「ほら、さっさと帰るぞ」

レオがかすかに顔を顰める。


どうやら図らずも漫才のようなやり取りでさらに注目を集めてしまったらしい。


人ごみに酔いかけてしまっている。


「……分かったわよ」

納得がいかないながらも、ミレイは頷いた。


「ねぇ、そこの……」

先程からレオを狙っていたらしい女性数人が意を決してやって来る。

とたんにミレイは敵意をむき出しにした。

それにこっそりレオは溜め息をつく。


注目を集めているかと思えばこれだ。

先陣を切った女性たちを見て、我先にと女性たちがやってこようとしている。


ミレイを狙ってか、男性までいるのが気になるが。


「良かったらさ……」

「……悪いが、付き合う時間はない」

レオは言葉を最期まで聞かず、ミレイの手を引いた。

こういう輩の相手をしていると逃げ道がなくなるだけだ。

「ほら、行くぞ」

「あ、うん!」

とたんにミレイの表情が綻ぶ。

『……レオ誘うなんて勇気あるよね〜』

『でも、役不足よ』

ニュイとディアもレオたちの後を追った。







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