風吹き抜ける大地V

□とある日のポケモン研究所
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受付嬢は研究所を訪れた男女2人組を見て怯んでしまった。

特に青年の方の視線が鋭く、なまじ顔が整っているだけに迫力を与えていた。

それを知ってか、レオではなくミレイが受付嬢に話しかける。

「あの〜、私たちクレイン……所長と面会したいんですけど……」

「あ、じゃあお名前を……」

それに安心して、受付嬢は密かに息を吐いた。

「私はミレイ。こっちがレオです」

「ミレイ様とレオ様、ですね」


確かに昨日クレインが言っていた名前だ。


「確かに承っております。所長が……」

「ああ、やっと来たんだ」

階段からクレインが降りてくる。

「所長……」

「久しぶり、クレインさん」

「ミレイちゃん、ようこそポケモン研究所へ。……レオも、どう?」

「……悪くない。悪い気も溜まってないし、場も澄んでいる」

腕を組んで、レオが建物内を見回した。

「でしょ? レオが言うんなら、大丈夫だね」

「ただ、気をつけろよ? 澄んでいる場所は逆に汚染されやすいからな」

「大丈夫だよ。皆、いい人たちばかりだから」

「……お前の観察眼を疑っているわけではない。俺が言いたいのはな……」

「……そういうこと」

「え、何々?」

レオとクレインの間で交わされた会話の意味が分からないのはミレイだけではない。

この会話を聞いてしまった受付嬢や、たまたま側で作業をしている所員たちもだ。

そのほとんどはやけに気安げなレオとクレインの間柄を気にしている。


何せクレインが初めて呼んだ個人的な友人だ。気になるのも無理はない。


「とりあえず、所内を案内するよ。……僕はレオほど専門家じゃないから、アドバイスがあったらよろしく」

「分かった。……行くぞ」

「うん!」

クレインの後にレオとミレイが続いた。








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