風吹きぬける大地W
□前章
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「本気、なのか?」
マサは目の前で紅茶を飲む幼馴染に再度問い詰めた。
「俺は冗談を言っても、嘘を言うことはないだろ?」
「そりゃあ、そうだけどよ……」
そのことくらい、マサも知っている。
問題は、レオの言葉が冗談なのか本気なのか見極めること。
今回は、間違いなく本気。
だからこそ、マサは聞き返したのだ。
「俺は、スナッチ団を抜ける」
レオは、マサの目を真っ直ぐ見つめ、もう1度宣言した。
「……確かに、俺からすればお前がスナッチ団にいることの方が驚きなんだよなぁ」
目の前にいる青年は、大人しく誰かの下に着くことを良しとはしない。
それに、団体行動が決して得意とは言い難い。
だからこそ、組織に所属するということが最初は信じられなかった。
レオなら、例え1人でもこのオーレ地方を生きていけただろうに。
「あのなぁ……いくら俺でもガキ1人オーレで生きていくことの無謀さくらいは心得ているさ」
ちらり、とレオはその無謀のうちの1人に視線を向けた。
「うっせ」
「まあ、お前はそれでも良かったんだろうが、俺の場合は隠れ蓑も必要だったしな」
「……その割には、気に入ってるんだろ?」
「まあ、悪い奴らじゃないからな。何やかんやで育ててもらった恩もある」
人のポケモンを盗ることは犯罪です。
しかし、その辺りの倫理観は薄い。
「じゃあ、何でだよ」
レオは1度目を伏せた。
ちなみにここは、フェナスにあるとある喫茶店。
少なくともここでするような話題ではないのだが……2人は頓着しなかった。