風吹きぬける大地W
□さて、これは何度目?
1ページ/3ページ
ここは荒くれ者の町、パイラタウン。
「くぉら! テメエら何やってやがる!」
マサが一喝すると、あっという間に若者が逃げ出した。
「マサ、助かったよ」
「気にすんなって」
絡まれていた青年に手を振って、マサは若者が逃げ去った方を見やる。
「しっかし、あいつ新参だな。見ねえ顔だ」
最近、新参者が大勢パイラに流れてきている気がする。
原因はシャドーのせいだ。
シャドーが配っているというダークポケモン。
マサも1匹……オオタチを持っているが、明らかに普通のポケモンじゃない。
見た目は変わらない。だが、発する気がどこか違うのだ。
しかしマサに分かるのはそれだけ。
他のトレーナーはその違和感さえ感じることが出来ない。
その理由が何なのか、マサ自身にも分からない。
だが何か、大切なことを忘れているような気がする。
「全くだよ。せっかく暮らしやすくなったってのにな」
「ああ。新顔にデカい顔させるわけにはいかねえよ」
チンピラと呼ばれるマサだが、安全に暮らしたいという思いに変わりはないのだ。
.