風吹きぬける大地W
□ドッキリその後は
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「でもさ、レオも知ってたなら言ってくれてもいいと思わない?」
「知るか」
素っ気なく、レオは紅茶を啜る。
「大体、二人とも目の前の敵を忘れやがって」
「あははは……面目ない」
「まあ、別にいいが」
それについての追及を、レオはあっさり取りやめた。
代わりに。
「いっそのこと、研究所内じゃなくて別の場所でやればよかったんだ。そっちの方が堂々と、もっと大がかりな罠を仕掛けられる」
「……うん、その辺りの発想は流石レオだね」
レオの発言にクレインは苦笑した。
「ふむ……いっそのこと、そうするか。適当な場所に人払いの結界張って、陣地戦」
「えー……レオがそれやったら凄まじいことになりそうだよ」
「……かもな」
ニヤリと笑い、レオはまた紅茶を口に含んだ。
「……あ、でも」
ふと思いついたのか、クレインがまじまじとレオを見た。
後日。
レオはしっかりとグローブをはめ直す。
ゴーグルの下で、目を細める。
鬱蒼と茂る森の中で、レオはただ佇んでいるかのように見えて実は四肢に僅かに力を入れていた。
心の内でカウント開始。
5、4、3、2、1
ゼロ。
それと同時にレオは駆け出した。
すぐさまトップスピードに乗り、6歩目で跳躍。
足元に氷柱が発生したのを視認せず、張り出した木の枝に着地。
しかし、そこにとどまるのも数瞬。
次々と枝を蹴り、幹を蹴る。
レオの後を追うように炎が、水が、雷が降り注いだ。
しかし、どれもレオを掠ることはない。
それを何度も繰り返し、レオはやがてとある地面に着地した。
しかし、レオのいる周囲の地面だけがぬかるむ。