風吹きぬける大地W

□友人への近道
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「ここがカントーかぁ…」
「…長かった」

クチバの港に降りたミレイとレオは、船の長旅で凝った身体をほぐすように伸び上がる。

「カントーも久しぶりだから見て回りたいが…まず行く場所があるからな」
「マサラタウンだっけ…」

ミレイは頭の中で散々眺めたカントー地方の地図を思い浮かべる。

レオはP☆DAでどこかにメールを送ってからホルダーから2つのボールを取り出した。

「砂漠での飛行に慣れたコイツらなら、方角を間違えることはないだろ」

レオが出したのは、デザーティとスチル。
2匹とも久しぶりの外と、初めての地方に嬉しそうだ。

「さ、こっから西の方角に真っ直ぐ。安全飛行で頼むぜ」

2人は荷物を担ぎ直すと、目的地へと飛び立った。




レオ達がクチバを経った頃、マサラタウンのオーキド研究所では珍しい来客の話が話題になっていた。

「オーレ地方?」

膝にピカチュウのチュチュを乗せたイエローが首を傾げた。

「そうじゃ。カントーやホウエンから遠い地方で、砂漠の地方じゃ。野生のポケモンが極めて少ない代わりに腕の立つトレーナーが多いそうだ」

オーキド博士の「腕の立つトレーナー」という単語に反応したのはレッドとグリーン。
だが2人の観点は違うらしい。

「へぇ…バトルしてみたいな!」

レッドは肩に乗せたピカチュウのピカに笑いかければ、ピカも同意の声を上げた。

一方のグリーンは眉間にシワを寄せていた。

「野生のポケモンが少ないのに、そんなにトレーナーがいるのか…?」
「ワシの古い友人もオーレでは有名なトレーナーじゃよ。今日来るトレーナーはその友人と、オーレ地方の博士の推薦じゃから、安心せい」

グリーンがオーキド博士の言葉を無理やり飲み込んだところで、ブルーが1つのボールを取り出した。

「ピッくんの耳には、そのお客サマの声が届いているみたいよ」
「そろそろ来る頃じゃな」

オーキド博士の言葉からまもなく、研究所の扉を叩く音がした。
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