風吹きぬける大地W
□彼がここにいる理由
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ブルーがそれを知ったのはたまたまだった。
「え? レッドってマサラ生まれじゃないの?」
ブルー自身はマサラ出身だが、幼いときに誘拐されたため、マサラ育ちというわけではない。
いくらブルーでも、そんな小さいときに誰がマサラタウンに住んでいるかなんて把握しているわけがないのだ。
「ああ。俺がタンバへ修行に行っている間に来たらしい。だから俺も詳しくは知らないが……」
たまたまブルーが見つけた、子供の頃の写真。
近所の子供たちと遊んでいるところを写されていて、懐かしくなったブルーはグリーンとイエロー、ついでにいたゴールドを捕まえて幼少期のことを根掘り葉掘り聞きだしていた。
だが、グリーンは小さいときから子供のときからポケモンバトルの修行で遊んでいなかったというし、イエローも1人で絵を描いているのがほとんどだったという。
仕方なくこの場にいないレッドの話に移行した。
ちなみにレッドは、何でも人と会う用事があるとのことで捕まらなかった。それが誰かまでは知らない。
ゴールドはそのことを知らず、レッドにポケモンバトルの特訓をつけてもらおうと来たところをブルーに見つかったのだ。
「え、でもレッドさんマサラ出身って……」
「……嘘は言ってないわ。今のレッドの本籍はマサラなんでしょ? そもそも『出身』という単語自体定義があやふやなんだから」
「へえ、そんなもんなのか」
「ええ。……でも意外ね、てっきりレッドもマサラ生まれかと思ったのに」
言い忘れているだけなのか、意図して隠しているのか。
レッドの性格からして、隠し事というのが似合わないというのに。
「……おじいちゃんなら、何か知ってるかもな」
「お、面白そうだな」
「そうね。聞いてみましょう。行くわよ、イエロー」
「え、え!?」
戸惑うイエローだが、レッドのことを知りたいという好奇心はある。
抵抗を見せず、ブルーに連れられて行った。
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