風吹きぬける大地W

□一件落着……?
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無事石像から戻れたし、カイオーガの形をしたエネルギー体も退けた。

アオギリから詳しい話を聞くことは出来なかったが……あの人なら抜け目なく情報を抜き取っているに違いない。


バトルフロンティアを騒がせた事件が解決し、レッドは安心していた。





「……レッド」





底冷えする、という表現が生易しい声が聞こえるまで。



まるで油の切れたブリキ人形のようにぎこちなく、レッドは声の主を見上げる。





そこにはレッドの想像と違わぬ……どころかもっと酷い光景があった。





あまり表情を表に出さないレオは、怒るときも無表情が多い。それでいて迫力は普段の倍なのだから、余計怖い。

そしてもっと怖くなると怒りを露わにする。

ちなみにレッドはこれも何度か経験済みだ。


そしてそれがさらにひどくなると……無表情に戻る。

但し迫力は当社比10倍増し。


現に関係ないはずのグリーン、ブルー、イエローやルビー、サファイア、そしてフロンティアブレーンたちまで引いている。


それを真正面から引き受けることになったレッドは、逃げ出したくなった。


ただし逃げたら後日この2倍返しになること間違いない。




「何があったのか、説明してくれるか?」



淡々とした声に感情が入っていない。だから怖い。

レオお得意の、無条件にポケモンでも人でも従わせてしまう『命令』でないのだから、レオは冷静だ。

どこまでも冷静だ。

これが激情していれば、情に訴える作戦も出来ただろうに。


すっかり疲れて眠ってしまったエメラルドが羨ましい。


「え、えっと……」

「上手く言えないのなら、整理する時間くらいやる。幸いにして時間は充分あるからな」

時間稼ぎはかえって逆効果ということが分かっていても、レッドはなかなか言えなかった。






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