風吹きぬける大地W
□悩むもの
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見た目では分からないかもしれないが、レオは非常に悩んでいた。
「……どうすればいいと思う?」
そう相談するのは長い付き合いであるマサとクレインだ。
「どうって……」
「普通なら自分が貰って嬉しいものだと思うけど……」
レオが悩んでいるのは、ホワイトデーのプレゼントだ。バレンタインにミレイから貰ってしまったものだから、こちらとしても何かお返しをしなければならない。
だが、レオは女性にプレゼントをしたという経験が皆無なのだ。
「……レオだったら何が欲しいんだ?」
「……本。火薬。重火器」
「……だよなぁ」
「ミレイちゃんには、ちょっと、ねぇ……」
ミレイは本を読むタイプではない。
火薬や重火器はとてもミレイに渡せるものではない。
「渡せるわけないな」
思わずマサも溜め息をつく。
「じゃあ、花はどう?」
「かさばる。散る。枯れる」
「……あ、っそうだね」
これでもレオとミレイは世界を回っているのだ。確かに荷物が増えるものは大変かもしれない。
「……無難にお菓子でいいんじゃないか?」
「……何を送れと?」
「は? 意味なんてあるのか?」
レオは息を吐いてP☆DSの画面を呼び出し、マサに見せた。
「キャンディーで交際の申し出、クッキーで友達……マシュマロでお断り!?」
「……で、何を送れと言うんだ? ん?」
「やっぱキャンディーじゃないの?」
ニコニコと笑うクレインをレオは睨んだ。
「……パイラでなら香水とか、ちょっと高級なものが喜ばれるんだけどな」
「……ミレイに香水は合わないだろう。それに、俺は香水が苦手だ」
「あー……」
「じゃあ、スカーフとかネックレスとか……」
「……あいつ、チョーカーしてるだろう」
あのチョーカーはミレイにとって母親から貰った大切なものだ。
両親から物を貰ったことのないレオにとっては、それは外させたくない。
「なら、バッグとか時計? いっそのこと指輪?」
「……クレイン」
面白がっている。
レオは溜め息をつき……しかし反応するとムキになってると言われるのが分かっているのでそれ以上言わなかった。