仮想と現実U
□赤い稲妻の失態
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ネットスラム。
本来そこはNPCの楽園。
だがクビアゴモラの一件で、認められたPCはネットスラムに入ることを許された。
ギルド『カナード』
あの死の恐怖ハセヲがギルマスをしているということからかなり名を知られるようになった初心者支援ギルドだ。
だが有名になった割にはギルドメンバーは相変わらず少ない。
しかも、一時期ルートタウンが使えなくなった影響でカナードの@ホームがネットスラムに移されたのだ。
つまり、出待ちをしようにもネットスラムに来れないのでは意味がない。
ギルドメンバーと接触する機会が少ない以上、ギルド加入は難しかった。
シラバスとガスパーがいつものように@ホームに入ろうとした時、@ホームの前で1人のPCがいるのに気付いた。
「あの〜……」
不正規PCの中で、CC社のエディットに従っているPCは少ない。
赤い服装はネットスラムの中でも目立っている。
「えっと……何か……って」
戸惑いながらもシラバスが声をかける。
何度か顔を見たことがある人だった。
と言っても会話はしたことないし。
「クリムさん……だったっけ」
「ああ」
クリムは笑みを浮かべた。
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