仮想と現実U
□名前
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アトリとて呪療士とはいえ立派な高レベルプレイヤーだ、その辺りのPKには勝てる。
しかし、今回は相手が悪かった。
一緒にパーティを組んでいた2人があっさりと凶刃に倒れる。
「あ……」
「どったの?も〜終わり?」
そのPKがニタリと笑う。
「楚良……さん」
何度か会ったことがある。
ただあの時は幸運にも見逃してもらえたのだ。
「ピ、PKはいけない事です!」
震えながらも、アトリは精一杯叫んだ。
「PKはいけない事です〜w」
アトリの口調をふざけて真似る楚良。
「月の樹が無くなったのに、ま〜だそんな事言うんだ」
「と、当然です!」
気丈にも叫ぶアトリ。
楚良には、まるで誰かを待ってるように見えた。
「……助けは来ないよ?」
「……っ」
「キミはこれから死ぬの。怖い?」
「……怖いというより、悲しいです」
「悲しい?」
「楚良さんに、分かってもらえないのが」
「……バッカじゃないのw」
楚良が哂う。
「僕ちんは僕ちんで楽しんでるの。分かってもらえないのは僕の方w どーしてこの楽しさが分からないのかな〜」
一瞬の後に楚良はアトリの後ろに周りこんだ。
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