救済と撲滅
□風邪ひきさんと鈍感さん
1ページ/4ページ
モルテが風をひいた。
「モルテ、お粥だよ」
心配そうな顔をして、キリエが消化の良いお粥を持ってくる。
「ん、ありがと……」
いつもの元気がないモルテ。
ベッドで寝込み、発熱のためか顔が上気している。
「馬鹿は風邪をひかないっつーけど、あれは嘘だな」
アガンがぼそりと呟く。
「アーガーン、聞こえてるわよ」
「へっ、病人は大人しく寝てなって」
今にも剣を持ちそうなモルテを慌ててキリエが制す。
「……それにしても、まさか丈夫なモルテが風邪で寝込むとはな」
「モルテも人の子、というわけですわね」
夏の大陸に行った後に冬の大陸に寄ったのだ。
気温の変化で体調を崩してもおかしくはない。
ナジャとリ・アは何やら納得したらしく、しきりに頷いている。
「むしろ今まで体調を崩さなかったのが不思議クマ」
「それもそうだな」
トッピーの言葉を肯定するアガン。
.