風吹き抜ける大地X
□今後ともヨロシク
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今更といえば今更なのだが、ミレイはレオの誕生日を聞いたことがない。
レオの誕生日自体はマサから聞いて知っているのだが、祝ったことは今まで1度もないのだ。
理由は簡単。レオ本人が祝われたくないから。
最期のその時を決められていたレオにとって、誕生日というものはカウントダウンがまた進むということ。
祝う気には微塵もなれなかったのだろう。
時刻は午前12時。普段なら寝ていてもおかしくない時間だが、この日だけは寝ているわけにはいかなかった。
「ねえレオ」
「ん?」
「はいこれ」
ミレイが差し出したのは、綺麗にラッピングされた小箱。
所謂誕生日プレゼント、というものだ。
「……またか」
声をかけられた瞬間から、こうなることを予想していたのだろう。表情こそ変わらなかったものの、レオは明らかに拒絶していた。
それを無視し、ミレイは強引にプレゼントを渡す。
「……ったく」
乱雑に包装紙を破り、箱を開ける。中に入っていたのはシルバーの十字架。
「毎年毎年……こんなのに金かけるなら、他のを買えばいいのに」
「私がレオに渡したかったからいいの」
「……いらん」
「駄ー目」
ここで拒否したところで、ディアとニュイが結託して荷物に忍び込ませるのだろう。体験談としてそれを知っていたレオは、しぶしぶ受け取った。
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