風吹き抜ける大地X

□今日こそ一緒に
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レオが隣りに並び歩くことがミレイはとても嬉しく、同時に誇らしくもあった。

10人が10人振り返る程の美人であるレオと、平々凡々のミレイ。並び立つのが釣り合うかと言われれば否と答えられてしまうだろうが、互いに外見には頓着しない。

男女問わず恨み妬みの籠った視線を送られてはいるが、それも慣れてしまえば気にならない。

「……やけに機嫌が良いな」

「ふっふ〜ん」

レオの質問には答えず、ミレイはレオの腕に抱きついた。

「……歩きにくいんだが」

「気にしない気にしない」

「俺が気にする」

この時ばかりはディアとニュイも口を出さない。空気の読める、賢いポケモンたちで大助かりだ。

「……あっ、ねえレオ」

「……何だ」

ミレイの異様な言動を、レオは嘆息ひとつで無視することにしたらしい。

それもまた、レオが心許している証なのだからミレイはますます嬉しくなった。

「あの店、知ってる?」

「知らん」

即答だった。

ミレイが示したのは、どこかファンシーな店だった。レオに分かるのは、それが飲食店らしいということ。

「ここね、90分ケーキ食べ放題のお店なんだ。ミナモとか、カナズミにもあるんだけどいっつも混んでてさ」

ミレイが、レオの腕を引っ張った。どうやら入るつもりらしい。

「ねえ、行こうよ。お昼ここにしよう」

「はぁ? ケーキで満足できるのか?」

「大丈夫。ご飯とかパスタもあるから」

「……まあ、どうでもいいが」

あまり食に興味を持たないレオは、ミレイに従うことにした。


料金先払いの店らしく、入った直後に規定の料金……大人2名ポケモン2匹の代金を払う。

「え。私も払うのに」

「別に、1人分くらい問題ない」

確かに2000円もしない金額、レオからすると微々たる金額なのかもしれない。何せ、レオは時に数万数十万もする道具を平気で使い捨てにするのだから。

「それに、男としての甲斐性くらい守らせろ」

そう、レオは口角の端を僅かに持ち上げた。

「レオ……」

ミレイの口元も、自然と笑みの形になる。

「ほら、さっさと自分の分取って来い」

「……うん」

どこからどう見ても、カップルにしか見えない。頬が緩むのを感じながら、ミレイはケーキを取りに行った。











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