風吹き抜ける大地X

□苦手な人
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彼のことが、イエローは苦手だった。


理由はない。初対面のときから、何故か彼に対して腰が引けてしまっていた。


強いて言うなら、第一印象。



獲物を見定めているような、鋭い金の瞳。

醸し出す硬質な雰囲気。



それらに、圧されてしまった。




「よう」


他地方の出身だという青年……レオが何故かトキワの森にいた。

チュチュが、イエローの足にすり寄る。


チュチュも、レオに恐怖していた。


「……こんにちは」

まるでとって食われそうで、半歩引きながら挨拶。



そんなイエローとチュチュの感情を知ってか知らずか、レオは口角を持ち上げる。


「……ここには、凶暴なポケモンがいると聞いているが」


イエローへの興味を失くしたのか、一瞥しただけでレオは再び森の奥へと視線を戻した。


「……はい、そうですけど」

レオの質問の意図が分からない。しかし、素直にイエローは頷いた。



「凶暴、ということはつまり強いポケモンがここに生息している、ということだな」



その言葉に、イエローは嫌なことを思い出した。




強いポケモンがトキワの森にいる、ということを聞きつけたトレーナーがやって来たことがある。

しかしそのトレーナーは大怪我を負い、這う這うの体で町に戻って来たのだ。





あれ以来、凶暴なポケモンがいるというトキワの森の奥は立ち入り禁止となっている。普段森で遊んでいるイエローも、奥まで踏み込むことはしない。


「……まさか、捕まえるつもりですか」

「ん、どうせ野生なんだろ? 捕まえて何が悪い」



かつてはロケット団に囚われていたポケモンたち。しかし今はトレーナーがいない。

そのため、捕まえたとしても何ら問題ない。



しかし。



「……でも」

「危険、か?」

「……はい」

こくり、と頷くイエロー。



すると、レオはますます笑みを深めた。





ざわり、と。


森がざわめく。






「……そうか。だが、お前には関係のないことだ」

不敵な笑みを浮かべたまま、レオは歩みだした。












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