風吹き抜ける大地X

□小道具の印象
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レオが持ってきたものを見て、ミレイは目を点にした。

「……何、それ」

「眼鏡だ。見て分からないか? それとも、それすら分からないくらい耄碌したか?」


眼鏡ケースから取り出し、レオは銀縁の眼鏡をかけた。


「どうだ?」

「………」


たっぷり3拍。


それからミレイは顔を真っ赤に染めた。

すぐに顔を背けるも、耳まで赤くなっているのは隠せていない。


「……クク」

その反応が面白く、レオは笑う。



眼鏡というアイテムだけで、印象ががらりと変わる。

普段は見せることのない理知的な眼差し。



普段の過激な言動で忘れてしまうが、これでレオは研究者になれるくらい頭が良いのだ。



だが笑うと、いつものレオ。




……だというのに。




「……何なのよ、もう」

調子が狂う。レオをまともに見ていられない。

「……それはこちらの台詞だ」

嘆息し、レオは眼鏡を外した。

「眼鏡くらいで、何だその反応」

「だ、だって……普段と違って見えてさ……」

「……ふん」


その眼鏡を、レオはミレイに強引につけた。


「ちょっ」

「……あれか、馬子にも衣装」

「酷っ。……あれ?」

レオの眼鏡を外し、ミレイはまじまじとそれを見る。

「……これ、度が入ってない」

「ああ」

眼鏡を奪い返す。

「とはいえ、度が入ってないだけだけどな」

「というと?」

「暗視、サーモグラフ……まあ、色々と詰め込んだ」

「……何それ」

要はレオのゴーグルの小型版、といったところか。

「……っていうか、詰め込んだって」

「クレインとの共同研究」

「何それ」

ミレイは呆れるしかなかった。

ミレイの突っ込みにもレオは平然。
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